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| [目次] 2.古都の喪章 臨時新幹線ひかり317号の死者 (津村秀介) 3.恵那峡殺人事件 (津村秀介) 4.天空の蜂 (東野圭吾) 5.名探偵の呪縛 (東野圭吾) 6.巴里の殺意 ローマ着18時50分の死者 (津村秀介) 9.姑獲鳥の夏 (京極夏彦) 10.絡新婦の理 (京極夏彦) 11.孤独の歌声 (天童荒太) 12.ホワイトアウト (真保裕一) 13.家族狩り (天童荒太) 14.魍魎の匣 (京極夏彦) 15.塗仏の宴 宴の始末 (京極夏彦) 16.Shall We ダンス? (周防正行) 17.ミステリ・ベスト201日本篇 (池上冬樹) 18.密告 (真保裕一) 21.空飛ぶ馬 (北村 薫) 22.狂骨の夢 (京極夏彦) 23.盗聴 (真保裕一) 24.ミステリ絶対名作201 (瀬戸川猛資) 25.人形館の殺人 (綾辻行人) 26.名探偵の掟 (東野圭吾) 27.トライアル (真保裕一) 28.遺骨 (北村 薫) 29.秋の花 (北村 薫) 31.時計館の殺人 (綾辻行人) 38.夏のレプリカ (森博嗣) 39.夜の蝉 (北村 薫) 40.運命の剣 のきばしら (宮部みゆき他) 41.人間というもの (司馬遼太郎) 46.時代小説秀作づくし (黒岩重吾) 48.覆面作家の愛の歌 (北村 薫) 49.覆面作家の夢の歌 (北村 薫) 50.制御不能 (釣巻礼公) 51.霧越邸殺人事件 (綾辻行人) 52.覆面作家は二人いる (北村 薫) 53.時代小説大全集2 勝者と敗者 (新潮社) 54.梅の宿 (山手樹一郎) 56.パレスチナから来た少女 (大石直紀) 58.水車館の殺人 (綾辻行人) 59.三本の矢[上・下] (榊東行) |
| ■順に本名・著者・出版社・発行日・蔵書先 なお、敬称は略させていただきます 評価は無印から★★★まで4段階、★★2つ以上が借り得本です。 |
| 2.古都の喪章 臨時新幹線ひかり317号の死者 津村秀介著 青樹社 1998年12月30日発行 大阪市立中央図書館 |
「古都の闇に隠された難事件に名探偵・浦上伸介が挑む!」がうたい 文句です。時刻表トリックの推理小説はなんと言っても、鮎川哲也氏 だと思っていたので、あまり期待もしないで借りてきた本です。でも、 時刻表を使ってのトリックはいつでも楽しいもので、フトンのなかで一 気に読んでしまいました。この浦上伸介シリーズは図書館にたくさん 揃っているようなので、また借りてこようと思っています。 ▲先頭へ |
| 3.恵那峡殺人事件 津村秀介著 天山出版 1991年4月5日発行 大阪市立福島図書館 |
傑作推理と表紙に書かれていたので借りてしまったのが大失敗です。 やはりちゃんと内容をチェックしてから、借りないといけません。さて、 この本は短編集です。表題の作品はけっこう面白かったんですが、残り 7作はもうひとつのようです。著者はやはり長編がお得意のようです。 ▲先頭へ |
| 4.天空の蜂 ★★ 東野圭吾著 講談社 1995年11月15日発行 大阪市立福島図書館 |
インターネットでお知り合いになれた方たちが、皆さん読まれていたの で借りてきました。「前代未聞!原発を揺さぶる空からの脅迫 圧倒的 迫力で描くクライシス・サスペンス」というのがうたい文句です。原発に 対しての問題提起と電気工学科卒だけあっての知識がベースにあるの で、読んでいて読者を飽きさせない面白い本だと感じました。 ▲先頭へ |
| 5.名探偵の呪縛 東野圭吾著 講談社文庫 1996年10月15日発行 大阪市立中央図書館 |
「図書館を訪れた私は、いつの間にか別世界に迷い込み、探偵天下一 になっていた。名探偵の掟の主人公が長編で再登場」がうたい文句で す。昔の本格推理小説は何ぞやと、考えさせてくれる内容です。軽い 感じで進行するので、ふとんの中でどうぞ! ▲先頭へ |
| 6.巴里の殺意 ローマ着18時50分の死者 津村秀介著 1996年4月5日発行 大阪市立福島図書館 |
著者は15年間、1年1度の海外旅行を自分に課していたそうですが 仕事とはいえ、いいですね。さて、この本では大好きなパリとローマが 舞台になっているのが良かったです。内容は「3つの射殺死体を結びつ ける短銃トカレフの謎と、国際線に仕掛けられた鉄壁堅陣のアリバイに 浦上・美保のコンビが挑む!」です。そんなたいそうなものではないよう ですが、疲れたときの気分転換にどうぞ! ▲先頭へ |
| 9.姑獲鳥の夏 ★★ 京極夏彦著 講談社 1994年9月5日発行 大阪市立福島図書館 |
インターネットで知り合った方のおすすめ作家の作品なので、借りてき ました。分厚い本ですし、また、出だしのところが非常に難解であったた め、なかなか読み進まず、読み終えるのに、一週間以上かかってしま いました。でも、半分を過ぎたあたりから急に面白くなってきて、一気に 読めたのです(でも、読み終えたら午前3時でした)。 話は、主人公が12年前に、恋のキューピット役を演じたことから始まり ます。そして、たいへん悲しい結末をむかえるのですが。私が思うに、こ の作品のすばらしさは、舞台設定が病院にあること、著者が民俗・伝承 の世界に精通していることに起因していることにあると感じました。 空蝉の世界に興じるストーリーの展開は、きっとあなたを満足させるので はないでしょうか。 ▲先頭へ |
| 10.絡新婦の理 ★★ 京極夏彦著 講談社 1996年11月5日発行 大阪市立福島図書館 |
この作品のすごさは、「真犯人は凡てが露見して殺人計画が頓挫した 場合でも自分に累が及ばぬように手を打っている。当然、法律に抵触 する行為も行っていない方法で、計画を完成させる」ということに主眼を おいて書かれていることにあると思います。「蜘蛛は、自分では何もしな いんだよ。罠を張って、獲物が掛かるのを−ただ待っているんだ」と言う 今回の主人公、陰陽師の中禅寺氏のせりふがとても印象に残りました。 ただし、真犯人が途中でわかるように書かれていましたので、すごく結末 に期待したのですが、いまひとつのような気がしたのが残念でした。 ▲先頭へ |
| 11.孤独の歌声 ★★ 天童荒太著 新潮文庫 1997年3月1日発行 大阪市立中央図書館 |
独り暮らしの女性を狙った凄惨な連続殺人事件のお話です。 「孤独を抱える男と女の、せつない愛と暴力が、渦巻く戦慄のサイコホ ラー」と裏表紙に書かれていますが、[日本推理サスペンス大賞優秀作] だけあって読み応えのある作品に仕上がっていると感じました。 なお、タイトルの「孤独の歌声」とは、「淋しいんだけれど慰められる、淋 しいけれども励まされる。淋しいけれど勇気が出る歌声」から来ているよ うで、尾崎豊さんの歌を思い出しながら読んでいたのでした。 ▲先頭へ |
| 12.ホワイトアウト ★★★ 真保裕一著 新潮社 1995年9月20日発行 大阪市立中央図書館 |
「日本最大の貯水量を誇るダムが乗っ取られた。同僚と亡き友の婚約者 を救うべくダムに向かう主人公。吹雪に閉ざされ堅牢な要塞と化したダム と厳冬期の雪山に展開するハードアクション・サスペンス!」がうたい文 句です。「ダム内部の徹底取材が実を結んだ緊迫感あふれる作品」という 評価ですが、全くその通りだと思います。アメリカの冒険小説家のように 事前準備をしっかりする作家のようですので、適当にお茶を濁したところ がありません。ですから、安心して読むことができる貴重な作家さんでは ないでしょうか。とても面白い作品に仕上がっていますので、読まれてい ない方はぜひどうぞ! ▲先頭へ |
| 13.家族狩り ★★ 天童荒太著 新潮社 1995年11月20日発行 大阪市立中央図書館 |
「常軌を逸した連続大量殺人の裏に、[愛の病理]が姿を現して。二年の 歳月を費やして精神医学の先端を極めた著者が、処女作以来のテーマ を全面展開した美しき地獄絵サスペンス」と裏表紙に書かれています。 まったくやりきれないテーマが取り上げられながら、物語は二転三転、急 展開しながら進んで行きます。救いようのない悲しみのなかで読み進ん でいくと、パッと明るいラストシーンが待っていたのがとても印象的でした。 ▲先頭へ |
| 14.魍魎の匣 ★ 京極夏彦著 講談社 1995年1月5日発行 大阪市立福島図書館 |
「匣の中には綺麗な娘がぴったり入っていた。日本人形のような顔だ。 人形の胸から上だけ匣に入っているのだろう。何ともあどけない顔なので つい微笑んでしまった。それを見ると、匣の娘もにっこり笑って、「ほう」と 言った。ああ、生きている。」。この部分がこの作品の全てではないかと 思わせるほどすごい出だしだと感じました。 この作品では、陰陽師の中禅寺氏・作家の関口氏・探偵の榎木津氏・刑 事の木場氏とフルキャストで登場し、大活躍してくれます。 話は、箱の中の少女を見た青年がどうしてもそのようなものが欲しくなって 、少女連続殺人事件を引き起こしていくのですが。 魍魎とは何ぞやと興味を持たれた方はぜひ読んでくださいませ! ▲先頭へ |
| 15.塗仏の宴 宴の始末 ★ 京極夏彦著 講談社 1998年9月20日発行 大阪市立福島図書館 |
塗仏の宴(宴の支度)の後編だそうですが、知らずに借りてきてしまって、 前編を読まずにそのまま読んでしまいました。 奇怪なる宗教集団がいっぱい出て、お宝?をめざして獲得競争を展開し、 おなじみのメンバーが大活躍してくれています。また、憑物落としの中禅 寺氏の大東亜戦争時の悲しい過去が事件の引き金となっており、その当 時の仲間が「消えた村」の村民の記憶を操作してしまうのですが... でも、読み終わった後は、やはり題名通りの宴の後のような虚しい気持ち でいっぱいになってしまい、なんともやりきれない気持ちで週末を過ごして しまったのでした。 ▲先頭へ |
| 16.Shall We ダンス? ★ 周防正行著 幻冬舎 1996年9月24日発行 大阪市立福島図書館 |
映画が大ヒットしたので、小説化されました。映画との違いは、主人公に 対しての思い入れと結末が大きく変わったことでしょうか。 どう変わったかといいますと、主人公は結局、ダンスホールに行かないで、 公園で一人で踊るのです、そして、舞さんも.... この結末は周防さんが考えついたのではなくて、知り合いのプロデューサ ーのH氏が一言いったことから出来たそうです。私はH氏と同じ世代です から、この結末が大好きになってしまいました。 さて、あなたはどちらの結末が素敵だと思いますか? ▲先頭へ |
| 17.ミステリ・ベスト201日本篇 ★ 池上冬樹編 新書館 1997年12月25日発行 大阪市立福島図書館 |
海外ミステリの影響をたぶんに受けた作家たちが数多く輩出してきた結果 近年、日本のミステリー界はたいへん活況を呈しているようです。 この本は「質」を重視しながら、1975年以降の作品の中から201本のミ ステリを選び、更に超A・A・Bの三つのランクに分け(そしてそれぞれ年代 順に並べ)、評価の目安を五種類に分け、★印で示すことにしたと書かれ ています。公平中立に、真に読者の立場にたったガイドブックを目指したと 言うだけあって、なかなか面白い本です。 「日本ミステリ史に残る傑作超A級作品」、「とにかく読んでほしいA級作品 」、「この面白さがわかるか?B級作品」に分類して、各作品1ページずつに 解説してくれていますので、楽しく読めると思います。 私はこの中に登場する作品は、40冊しか読んでいませんが面白そうなの ばかりなので、図書館でしっかり探してみようと思ったのでした。 ▲先頭へ |
| 18.密告 真保裕一著 講談社 1998年4月6日発行 大阪市立福島図書館 |
8年前、ピストル競技の特練生であった警察署生活安全総務係の主人公 が当時密告したことがあったため、再度、贈収賄の密告の犯人に疑われて しまった。彼は汚名を晴らすべく行動を開始する。しかし、警察内部からも 妨害され罠までしかけられるのですが.... あまり好きな題材ではないためか、彼の作品らしくないように感じてしまい さっと流し読みしたのでした。 ▲先頭へ |
| 21.空飛ぶ馬 ★★ 北村 薫著 東京創元社 1989年3月15日発行 大阪市立福島図書館 |
「織部の霊・砂糖合戦・胡桃の中の鳥・赤頭巾・空飛ぶ馬」からなる物語が つながる連作長編です。殺人事件が一件も出てこない珍しいミステリー小 説なのですが、とても楽しく読めました。 帯には、「犀利な推理力を発揮する噺家と女子大生の名コンビ 痛快な論 理展開の妙を満喫させる連作長編 」とありました。 なかでも、「空飛ぶ馬」は心温まる内容で、爽やかな読後感につつまれて 読み終えたのでした。殺人や強盗、詐欺、誘拐といった強烈な犯罪事件を 題材にした小説に飽きたときは、こういう小説をぜひどうぞ! ▲先頭へ |
| 22.狂骨の夢 ★ 京極夏彦著 講談社 1995年5月8日発行 大阪市立福島図書館 |
第三作だそうですが、この作品も魑魅魍魎・百鬼夜行の世界を舞台に展開 しています。今回は「髑髏」が主役なのですが、貴人の髑髏にとりつかれ た宗教家や髑髏の夢にとりつかれた男女が登場し、連続殺人事件が起こ ります。もちろん、いつものメンバーが大活躍してくれますが、やはり中禅寺 氏が最後に憑物落としをしてくれて、話は終わります。 まあこれだけいろいろと調べたものだなあと感心するくらい、フロイド・ユング ・密教・夢判断などについて書かれていますので、この分野に興味のある方 もぜひ借りてみてくださいませ! ▲先頭へ |
| 23.盗聴 真保裕一著 講談社 1994年5月25日発行 大阪市立福島図書館 |
著者の初めての短編集です。「盗聴」、「再会」、「漏水」、「タンデム」、「私 に向かない職業」の5編から構成されています。「盗聴」は、爆弾テロに遭っ た主人公が盗聴器ハンターになってテロリストに復讐するお話で、「再会」 は、高校時代の友人達が集まる前夜に、主人公の妻が自殺を図ってしまう お話です。「漏水」は、ある夫婦が殺害した死体を地面に埋めたのを発見し た水道局の係員が強請ろうとして逆に殺されてしまうお話、「タンデム」は、 族あがりのライダーが、元族のリーダーの不可解な交通事故死の犯人に間 違われ、失恋してしまうお話、「私に向かない職業」は殺人未遂事件の第一 発見者となった私立探偵が事件にまきこまれるお話です。 私は、「盗聴」と「私に向かない職業」がとても気に入りました。軽い作品ば かりですので、疲れた時の気分転換に最適な本に仕上がっていますので、 ぜひどうぞ! ▲先頭へ |
| 24.ミステリ絶対名作201 瀬戸川猛資編 新書館 1995年12月25日発行 大阪市立福島図書館 |
この本は「ミステリ・ベスト201」の姉妹篇に当たるとのことで、古典名作の ガイドブックであり、201冊及びその他の名作ミステリをジャンルごとに、本 格、ハードボイルド&警察小説、サスペンス&スパイ、法廷物&その他、の 四つに区分して解説してくれています。この2冊を読めば、古典から現代に 至るミステリの流れも一望できるそうですので、興味のある方はどうぞ借り てみてください。 とくに、各ジャンル別に座談会を設けてあって、この会話がとても面白かった のが印象的でした。ただし、外国物ばかりですので、日本物に興味のある方 は上記17番の「ミステリ・ベスト201日本篇」をどうぞ! ▲先頭へ |
| 25.人形館の殺人 ★ 綾辻行人著 講談社文庫 1993年5月15日発行 大阪市立福島図書館 |
「亡父が残した京都の邸の人形館に飛龍想一が移り住んだその時から、驚 倒のドラマが開始した! 邸には父の遺産というべき妖しい人形たちが陣取 り、近所では通り魔殺人が続発する。やがて想一自身にも姿なき殺人者が 忍び寄る!」と裏表紙に書かれています。 初めて綾辻行人さんの作品を読んだのですが、とても面白くて他の館シリー ズを読まずにはおられなくなりそうです。 この作品では、作者が仕掛けた罠にたっぷりはまりこんでしまいました。 そして結末では、あっと驚かされてしまったのでした。 「揺るぎない現実というものは存在せず、実は様々な幻想が折り重なって ひとつの様相を呈しているにすぎない」ということを、小説の世界でも思い 知らされてしまったのでした。 ▲先頭へ |
| 26.名探偵の掟 ★★★ 東野圭吾著 講談社 1996年2月25日発行 大阪市立福島図書館 |
目次 「プロローグ、第一章 密室宣言−トリックの王様、第二章 意外な犯 人−フーダニット、第三章 屋敷を孤立させる理由−閉ざされた空間、第四章 最後の一言−ダイイングメッセージ、第五章 アリバイ宣言−時刻表トリック、 第六章 花のOL湯けむり温泉殺人事件論−2時間ドラマ、第七章 切断の 理由−バラバラ死体、第八章 トリックの正体−???、第九章 殺すなら 今−童謡殺人、第十章 アンフェアの見本−ミステリのルール、第十一章 禁句−首なし死体、第十二章 凶器の話−殺人手段、エピローグ、最後の 選択−名探偵のその後 」。 帯には、「本格推理の自虐的趣味が<をかし>の領域に行き着いた。密室ト リック、首なし死体、消えた凶器....快刀乱麻の名探偵・天下一が挑む難 事件。」と書かれています。 こういう風に裏側から書かれると、私のような読者はみもふたもないのですが まあ、この指摘が当たりすぎていて、怒る気もしなかったのでした。 特に、「第六章の花のOL湯けむり温泉殺人事件論−2時間ドラマ」は、とても 面白くて腹を抱えて笑ってしまいました。どうぞ、ぜひ読んでくださいませ! もっとも皆さんは、もう既に読まれていることでしょうね! ▲先頭へ |
| 27.トライアル ★ 真保裕一著 文藝春秋 1998年7月30日発行 大阪市立福島図書館 |
帯には、「競馬・競輪・競艇・オートレース、それぞれの世界に賭けるプロフェ ッショナルの矜持と哀歌 ゴールを見つめ、彼らはひた走る」と書かれていま した。「逆風、午後の引き波、最終確定、流れ星の夢」の四作の短編で構成 されています。この中では、競輪選手が主人公の「逆風」が一番気に入りま した。ラストシーンで涙が出そうになったくらいですから。 軽い作品ばかりですので、気分転換に、ふとんの中でぜひ読んでみてくださ いませ! ▲先頭へ |
| 29.秋の花 ★ 北村 薫著 東京創元社 1991年2月10日発行 大阪市立福島図書館 |
帯には、「校舎の屋上から落ちた墜ちた女子高生。その死をめぐって円紫師 匠と女子大生の追求が始まる...!」と書かれていました。 初めて主人公の身近に死亡事故が発生します。死んだのが知っている女子 校生で、そして、その子の親友の様子がおかしくなってきます。それに気づい た主人公は原因を調べ始めるのですが...。 宮部みゆきさんの解説では、正面切って<死>もしくは<殺>と取り組んで いる作品であり、また、彼の作品には繰り返し見ることのできる、褪せない夢 があって、北村薫ワールドを形成しているようなことが書かれていました。 なにかわからないけれど、爽快な読後感があり、また、彼のシリーズを読ん でみたいと思わせる魅力いっぱいの本でした。余談ですが、私は著者さんは 女性の方だとばかり思っていたのでした。 ▲先頭へ |
| 31.時計館の殺人 ★★ 綾辻行人著 講談社文庫 1995年6月15日発行 大阪市立福島図書館 |
裏表紙に、「館を埋める百八個の時計コレクション。鎌倉の森の暗がりに建つ その時計館で十年前一人の少女が死んだ。館に関わる人々に次々起こる自 殺、事故、病死。死者の思いが籠る時計館を訪れた九人の男女に無差別殺 人の恐怖が襲う。凄惨な光景ののちに明かされるめくるめく真相とは? 第 45回日本推理作家協会賞受賞」と書かれています。 たいへん面白い作品に仕上がっています。とくに時計館の設計が非常に興味 深いのです。結末で、時計館の先代当主の古峨倫典が言い残した散文詩の 「沈黙の女神」の内容が明らかになり、完成から9年後の正午に時計館は倒 壊してしまいます。その大掛かりな仕掛がまたすごいのです。 話は、10年前に合宿に来ていた少年たちが森に落とし穴を掘ってしまったこ とから始まるのですが....。 さあ、あなたも綾辻ワールドで、だれが犯人か、手に汗握って探ってみません か? ▲先頭へ |
| 38.夏のレプリカ 森博嗣著 1998年1月7日発行 1998年1月7日発行 大阪市立福島図書館 |
あらすじ、「那古野市の実家に帰省したT大大学院生の前に現れた仮面の誘 拐者。そこには血のつながらない詩人の兄が住んでいた。誘拐が奇妙な結末 を迎えたとき、詩人は外から施錠されていたはずの部屋から消え去っていた。 朦朧とするような夏の日に起きた事件の裏に隠された過去とは!?」 初めて著者の本を読んだのですが、気軽に楽しく読める作品に仕上がってい ると感じました。 後半まではストーリー展開にワクワクしながら読んでいたのですが、ラストに 近づくにつれてなぜかつまらなくなり、結末も期待したようなものではなかった ため、中途半端な感じで読み終えてしまったのでした。これはきっと期待が大 きすぎたせいかもしれませんので、ご不満の方はご了承くださいませ! でも、ふとんの中で楽しく読める作品ですので、読んでみてください! ▲先頭へ |
| 39.夜の蝉 ★ 北村 薫著 東京創元社 1990年1月20日発行 大阪市立福島図書館 |
目次、「朧夜の底、六月の花嫁、夜の蝉 」。 「このミステリがすごい!’89」国内部門第2位、騒然たる話題を呼んだ前作 「空飛ぶ馬」は本書の前座でしかなかった!! ミステリー界の真打登場と 帯に書かれていましたが、それほどではないと感じてしまいました。 前作のほうが、私にとっては良かったせいかも知れません。 「朧夜の底」は、主人公の友人の正ちゃんがバイトしている書店で起こった不 思議な出来事(本棚の本が何冊かさかさまになっていたり、また....)につ いてのお話です。 「六月の花嫁」は、友人の江美ちゃんの友達の別荘で起こったあるゲームの お話です。 「夜の蝉」は、主人公の美人の姉の失恋のお話なのですが、恋人に出した手 紙がなんと彼の新しい彼女に届いてしまうミステリーなんですね。それを円紫 師匠が見事に謎解きをしてくれるのですが、なにか切なく悲しい結末でした。 以上三編で構成されていて、楽しく読める作品に仕上がっていますので、どう ぞ借りてみてください! ▲先頭へ |
| 40.運命の剣のきばしら ★★★ リレー小説 中村隆資/鳴海丈/ 火坂雅志/宮部みゆき/安部龍太郎/宮本昌孝/東郷隆 PHP文庫 1999年2月15日発行 大阪市立中央図書館 |
裏表紙に、「鎌倉末期、備前長船で生まれた剛刀[のきばしら]。足利将軍 斬殺という嘉吉の乱を引き起こし、千利休の手により石燈籠を斬る。やがて 江戸時代、転生した娘とともに質屋夫婦の命を救い、幕末には人斬り岡田 以蔵の手に渡る。維新動乱のなかで女剣士の仇を討って、ついに終戦前夜 の皇居に現れる....。一振りの剣をめぐる時空を超えた物語を、気鋭の 執筆者7人が書き継ぐ、珠玉の連作時代小説」と書かれています。 無銘の剛刀が主人公なのですが、これがとても面白い作品に仕上がっている のです。七人の書き手が自己の作家的資質を十二分に活かしながら、リレー してくれているのですね。 久々に、ほとんど徹夜して読んでしまったほどですので、必ずや皆さんも読ん で良かったと思われるのではないでしょうか!? ▲先頭へ |
| 41.人間というもの 司馬遼太郎著 PHP研究所 1998年12月4日発行 大阪市立浪速図書館 |
帯に、「待望!初の箴言集 人の世とはいかなるものか?日本と日本人の 行末は? 混迷の時代に大いなる遺産、307の言葉。」と書かれいます。 [目次] 人間とは何か/組織から社会へ/夢と生きがい/日本と日本人/ 等身大の英雄たち/男と女 著者が書き上げた作品のなかから、すばらしい箴言を選んでまとめられた本 です。私にはこの意図がよくわからなくて困ってしまいました。でも、読んで行 くと、司馬さんの考える人間感が強く伝わってきて、これからの日本人はどう 生きていけばよいのだろうとか、いろいろ考え込んでしまったのでした。 ▲先頭へ |
| 46.時代小説秀作づくし ★★ 黒岩重吾 杉本苑子 本 陽ほか PHP文庫 1997年2月17日発行 大阪市立中央図書館 |
裏表紙に、「相撲の始祖といわれる野見宿禰の死闘(黒岩重吾の埴輪刀)、 自慢の鉄砲で織田信長を狙い続けた杉谷善住坊の生き様(南條範夫の 元亀元年の信長)、井伊直弼暗殺で一の太刀をつけた森五六郎の剣(津本 陽の桜田門外・一の太刀)...。古代ロマンにあふれた人間ドラマから、粋 と人情の吉原恋物語、そして戦国・幕末の剣豪ものまで、ベテラン・気鋭の 豪華執筆社11人による珠玉の短篇集。」と書かれております。 なかでも、「黒岩重吾の埴輪刀」、「長部日出雄の天眼の人−行基」、「戸部 新十郎の睡猫」、「藤本義一の二代吉野」の作品はすごく面白くて、読んだ 後の余韻がなんともいえないのでした。 ▲先頭へ |
| 48.覆面作家の愛の歌 ★ 北村 薫著 角川書店 1995年9月30日発行 大阪市立福島図書館 |
[目次] 覆面作家のお茶の会 /覆面作家と溶ける男 /覆面作家の 愛の歌 この小説を男性の方が書かれているというのはなんとも不思議な世界だと 感じてしまうのですが...。でも、すごくこれが面白いのですね。私はきっち りはまってしまいました。昔TVで見た琴姫七変化を思い出してしまったので した。 「覆面作家のお茶の会」は、南青山のケーキ屋のパティスリー・スズミの主人 の不審な行動が発端となり、遺産相続の問題が出てくるのですが。 「覆面作家と溶ける男」は、都内で起こった小学生絞殺事件を覆面作家の千 秋さんが解決するお話、「覆面作家の愛の歌」は、ある劇団の看板女優が、 殺害され、それを覆面作家の千秋さんたちが解決するお話です。 主人公がお嬢様探偵なので、これからも楽しみになりそうです! ▲先頭へ |
| 49.覆面作家の夢の家 ★ 北村 薫著 角川書店 1997年1月30日発行 大阪市立福島図書館 |
帯に、「美貌のお嬢様が挑む謎 人気の覆面作家は、実は大邸宅に住む 御令嬢で、しかも名探偵。今回は、12分の1のドールハウスで起きた小さな 殺人(?)に秘められたメッセージに取り組んだ・・・」と書かれていました。 [目次] 覆面作家と謎の写真 / 覆面作家、目白を呼ぶ / 覆面作家 の夢の家。 「覆面作家と謎の写真」は、東京ディズニーランドで撮った写真に何故か映っ ていた男性についてのお話です。「覆面作家、目白を呼ぶ」は、コマルハナ バチを使っての殺人事件のお話なのですが、この作品はとても気に入ってし まいました。「覆面作家の夢の家」は、ミステリ作家の由井美佐子先生に想 いを寄せる学者の藤山先生が12分の1のドールハウスを使って、想いを謎 解きのメッセージに託すというお話です。 心温まる作品ばかりですので、どうぞ読んでみてくださいませ! ▲先頭へ |
| 50.制御不能 ★ 釣巻礼公著 NON NOVEL 1998年7月20日発行 大阪市立中央図書館 |
あらすじ、「車が人を襲った!? ヤジマ自動車の新型車に多発する事故は そうとしか解釈できなかった。社内の原因究明チームは疑惑の対象を、来る べき高度道路交通システムに向けて超微細加工技術を駆使して人工知能車 を極秘開発する研究所に絞っていく。一方、チームリーダー川瀬の中学生の 娘・のぞみの周辺では、同級生がナイフで両親を惨殺、さらにのぞみに異形 の影が忍び寄った...。打ち続く異常事件には関連があるのか? 超絶の構想と展開で、新鋭がハイテク・ホラーに新局面を拓く野心作! 表紙裏に、評論家の風間賢二氏が、「暴走特急ホラーの快作!釣巻礼公に 注目せよ! まさに、読者を本書のタイトルどおりにさせてしまう一冊−読み だしたらやめられない暴走特急ホラーだ! この暴走特急の車体は人工生 命や人工知能、コンピュータ工学、ナノテクといった最新科学、エンジンはナ イフを振り回す今どきの中学生や鬱屈した大人のストーカーといった最新社 会現象、エネルギーは著者の自由奔放な想像力と卓越した語り口。 そして、暴走特急の目的地は心を病んだ現代人の行く末に警鐘を鳴らす奇 抜な進化論である。いわば本書は、文科系と理科系とが幸福な出会いを果 たした[複雑系ホラー]だ。瀬名秀明や鈴木光司と並ぶ和製ニューホラーの 梁山泊のひとり、釣巻礼公に注目せよ!」と書いてくれています。 なにも言うことはありません。とても面白くて徹夜して読んでしまいました。 ラストシーンもなかなかですし、読後感も良くて言うことなしの本でした。 ▲先頭へ |
| 51.霧越邸殺人事件 ★★ 綾辻行人著 新潮文庫 1995年2月1日発行 大阪市立福島図書館 |
裏表紙に、「或る晩秋、信州の山深き地で猛吹雪に遭遇した8人の前に 突如出現した洋館[霧越邸]。助かった・・・安堵の声も束の間、外界との 連絡が途絶えた邸で、彼らの身にデコラティブな死が次々と訪れる! 密室と化したアール・ヌーヴォー調の豪奢な洋館。謎めいた住人たち。 ひとり、またひとり−不可思議極まりない状況で起こる連続殺人の犯人は ? 驚愕の結末が絶賛を浴びた超話題作。」と書かれておりました。 なかなか面白い作品だと思います。館シリーズではないのですが、設定 はよく似ておりますので、館シリーズのファンの方は気に入られるのでは ないでしょうか。小劇団「暗色天幕」のメンバーら8人のキャラクターが興味 深いし、劇団の主催者の槍中氏と作家の鈴藤氏の会話もいいんですね。 後半は消化不良の感がなきにしもあらずと感じてしまいましたが、エピロ ーグが最高に素敵で、深い余韻に包まれて読み終えたのでした。 ▲先頭へ |
| 52.覆面作家は二人いる ★★ 北村 薫著 角川書店 1991年11月30日発行 大阪市立中央図書館 |
帯には、「姓は<覆面>、名は<作家>でペンネーム覆面作家、本名新妻 千秋。若干19歳、天国的な美貌の新人がミステリ界にデビューした..!」 と書かれておりました。クリスマス間近の冬、春、そして麦わら帽子の夏、 それぞれの季節の中で起こった三つの事件。日常世界に潜む謎を千秋さん は鮮やかに解き明かしてみせたとも書かれております。 この本は三つの作品から構成されています。「覆面作家のクリスマス」は、 クリスマス間近の冬に、「推理世界」の編集部に送られてきた応募原稿から 話は始まります。そして、その原稿を読む係となった岡部良介が住んでいる 家の隣にある女子高で女子高生殺人事件が発生するのですが...。 「眠る覆面作家」は、文壇デビューが決まった千秋さんが初の原稿料をもら うために待ち合わせの水族園で、少女誘拐事件調査中の刑事を投げ飛ばし てしまうのですが...。 「覆面作家は二人いる」は、デパートのCD売場で多発している不思議な万 引き事件を千秋さんが見事解明してしまうお話です。 覆面作家シリーズはこの作品からスタートしているそうなので、この本から 読まれることをお薦めいたします。 ▲先頭へ |
| 53.時代小説大全集2勝者と敗者 ★ 新潮社編 新潮文庫 1989年9月15日発行 大阪市立福島図書館 |
裏表紙に、「安部龍太郎、安西篤子、伊藤桂一、小松重夫、早乙女貢、笹沢 佐保、澤田ふじ子、白石一郎、新宮正春、綱淵謙錠、南條範夫、南原幹雄、 早坂暁、森村誠一、若城希伊子−時代小説の名手15人が描く様々な人間 ドラマ、勝負の数々。ゆっくりと流れてゆく時間に生きた、武将、剣豪、商人た ちの姿を鮮やかに映し出す、選りすぐりの名篇を収録。大好評時代小説大全 集の第二弾!」と書かれております。 10年前の本なのですが、とても面白くて、時代小説にハマってしまいそうで す。なかでも、伊藤桂一の「参宮みちの仇討」は読者の意表を衝く展開と人 情味あふれるエンディングが秀逸でたいへん温かな作品でした。 小松重男の「びすかうと」は、信長の安土城にお市の方とともに引き取られた 浅井長政の遺児三人、お茶々、お初、小督が南蛮菓子のびすかうとに舌鼓 をうつという設定で展開し、切支丹禁圧についても言及していてとても面白い 作品でした。安部龍太郎の「師直の恋」や安西篤子の「首賭け七右衛門」も いい作品ですし、時代小説に興味がある方はぜひどうぞ! ▲先頭へ |
| 54.梅の宿 ★★ 山手樹一郎著 桃園文庫 1997年12月15日発行 大阪市立福島図書館 |
裏表紙に、「尊攘浪士とも知らず、お蝶が窮地を救った流れ者は、手際よく 父の病いを治してしまった腕の持ち主。だが、追手がかかると、たちまち姿 を消してしまった。ゆきずりの男とわかっていても、お蝶はその男が忘れら れない。若き男女の淡い慕情を描いた表題作ほか、情感豊かな珠玉作を 集めた傑作小説集」と書かれていました。 著者さんは昭和53年に逝去されているのですが、素晴らしい作品群はしっ かりと残っております。最近、時代小説を読みたくなってしまって図書館で 時代小説探しをしているのですが、いっぱい揃っているので嬉しくなってしま います。 さて、この本は、「開発奉行、梅雨晴れ、山男が拾った娘、余香抄、叱られ 祝言、ざんぎり、おせん、夜の花道、梅の宿、おぼろ月、竹光と女房と」の 11作の短編で構成されています。どの作品も情があっていいんですね。 とくに、藩の潟埋立難事業を引き継いだ奉行の活躍を描いた「開発奉行」、 江戸見物かたがた丹波の山から出てきた百姓侍が主人公の「山男が拾っ た娘」、赤穂浪士の矢頭右衛門七の介錯人に選ばれた主人公が彼の供養 を思い立って、赤穂まで行く話の「余香抄」、猪という渾名の侍が目付役の 一人娘雪と結ばれるまでの出来事を綴った「叱られ祝言」、そして表題作 の「梅の宿」と、読んで良かったと思わせる作品がめじろ押しなのでした。 ▲先頭へ |
| 56.パレスチナから来た少女 ★ 第2回日本ミステリ文学大賞新人賞受賞作 大石直紀著 光文社 1999年3月30日発行 大阪市立福島図書館 |
帯には、「私怨の女テロリストが日本の地を踏んだとき、中東を巡る妖しく 危険なゲームがスタートした!」と書かれていました。 [あらすじ] 1982年9月、ジャーナリストの立花俊也はベイルートの難民 キャンプで少女を助けます。その少女は一切の記憶や感情を失っていて、 俊也はしかたなく日本へ連れ帰り、養女にして一人で育て始めます。 そして、その少女沙也が高校生になった頃、イスラエルでパレスチナ人の 女テロリストのマリカがユダヤ要人を暗殺し始めます。その女テロリストが 日本に潜入して、なにやらきな臭い雰囲気になってきて、日本の公安警察や イスラエルのモサドなどが暗躍するのですが...。 著者さんが言っておられるように、中東問題のような重いテーマをこういうエン ターテーメント小説の形で書いたことに関して本人自身、抵抗があったようで すが、なかなかどうして素敵な作品に仕上がっていると思いました。 日本はあまりにも平和すぎて、平和ボケしているのは間違いのないところなの ですが、この平和がいつまでも続き、中東に一日も早く本当の平和が訪れるこ とを願わずにはおれません。 テーマに好き嫌いがあるとは思いますが、良い作品ですので、ぜひ読んでみて くださいませ! ▲先頭へ |
| 58.水車館の殺人 ★ 綾辻行人著 講談社文庫 1992年3月15日発行 大阪市立福島図書館 |
裏表紙に、「古城を思わせる異形の建物[水車館]の主人は、過去の事故で 顔面を傷つけ、常に仮面をかぶる。そして、妻は幽閉同然の美少女。ここにうさ んくさい客たちが集まった時点から、惨劇の幕が開く! 密室から男が消失した ことと、一年前の奇怪な殺人とは、どう関連するのか?驚異の仕掛けをひそませ た野心作。」と書かれています。 この作品は、1988年2月に発表された、「十角館」につぐ第二作です。前作と同 様、外界から孤絶した館での連続殺人がモチーフで、探偵役が島田潔で、館の 設計者はもちろん中村青司です。書き方が少し変わっていて、1年前の殺人事件 当時と現在とが交互に書かれているんですね。また、舞台設定が相変わらず冴 えていて、水車館(外壁と塔を持つ古城のようであり、幻想の風景画が並んだ回 廊があり、回り続ける三連水車)なのです。その館の当主は車椅子に乗った仮面 をつけた男。その妻は幽囚の美少女なのです。 そして、結末がすごかったので、びっくりしてしまった作品なのでした。 ぜひ、あなたも、綾辻ワールドに足を踏み入れてみませんか!? ▲先頭へ |
| 59.三本の矢(上・下) ★★ 榊東行著 早川書房 1998年4月30日発行 大阪市立図書館共有 |
カバーに、「すべては大蔵大臣の失言が発端だった。国会の予算委員会において 蔵相の瑞田が、かねてより経営難が噂されていた日本不動産銀行の状態が[極 めて危険なレベルに達しつつある]と発言したのだ。議場は騒然とし、記者たちは ニュースを社へ報ずべく出口へ殺到する− まさしく、[昭和金融恐慌]の再現だ った。日本不動産銀行は倒産へと追い込まれ、未曾有の金融パニックが日本全 土に波及する。大蔵省は対応策を策定すべく、緊急チームを編成、事態収拾に向 けて動きはじめる。その一方で、驚くべき事実が判明する。瑞田が読み上げた答 弁書の中味は、何者かの手によって差し替えられていたのだ。となれば、蔵相の 問題発言は[失言]などではなく、周到に仕組まれた陰謀だったことになる。 いったい誰が、何の目的で−? 現実の日本を襲う[危機]を現在進行形でシミュ レートする、驚愕の金融経済サスペンス巨篇。 大蔵省銀行局の紀村隆之は、大蔵大臣の失言があった翌日、突然官房長に呼び 出され、主計局への異動を言い渡される。異動を隠れ蓑に、[蔵相失言事件]を仕 組んだ犯人を調査しろというのだ。 しかし、紀村に許された時間はあまりにも少なかった。一両日中には、失言に端を 発した金融パニックへの対応案が政府から発表になる。その前に犯人をつきとめ、 犯行の目的を明らかにしなければならない。 残された証拠から犯人を特定することは無理だと判断した紀村は、反対に動機面 から事件を探っていく。だが、これほどの金融パニックを引き起こして、いったい誰 が得をするというのか? やがて事件の裏に、謎の人物による経済クーデター計画浮かび上がるが−。 膨大な情報と最新の政治・経済理論を駆使して描く、空前の金融経済ミステリ。」 と書かれておりました。 「三本の矢」というのは、政・官・財を指しているようですが、本のなかでは日本と いう、三本の矢というシステムなのだと書かれています。何もかもが強靭な力で つながっていて、主計局、銀行、自民党、世論、アメリカまでつながっているとい ったところでしょうか!? この作品では、3人の男が、理想に燃え、それらの矢 をへし折ることを誓ったのでした。最後には挫折だけが残ったのですが、一人は、 現実になかで闘い抜く道を選び、一人は、いまだに過去に未練を残しつつも現実 を甘受し、そしてもう一人は舞台を去ってしまうのですが...。 とてもすばらしい経済小説で、上下2巻もあるのに、一日で読破してしまったほど の作品なのでした。後味がいま一つという指摘があろうかと思いますが、私には 日本らしい結末であり、主人公のこれからの行動に期待して行くべきだと感じたの でした。 なお、著者さんは、現在某省庁課長補佐さんだそうです。でも、日本の官僚システ ムというのは、こんなくだらないシステムの上に成り立っているのかと思うと悲しく なってしまったのでもありました。 ▲先頭へ |
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