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日本文学2(ミステリ・エッセイ)
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61.殺人鬼 (綾辻行人)      62.殺人鬼2 逆襲篇 (綾辻行人)
63.冬のオペラ (北村 薫)    64.熱波 (今野 敏)
66.死が舞い降りた (安東能明)
67.仕留め技捕物帳 捕物界の異能者たち (菊地 仁)
68.眼球綺譚 (綾辻行人)     69.貧乏だけど贅沢 (沢木耕太郎)
71.黒猫館の殺人 (綾辻行人)
72.分解の世代 (徳丸壮也)   73.クーデター (楡周平)
78.顔に降りかかる雨 (桐野夏生)
79.クラッシュ (楡周平)      80.闇の楽園 (戸梶圭太)
81.生を踏んで恐れず 高橋是清の生涯 (津本 陽)
82.アフリカの蹄 (箒木蓬生)   83.防壁 (真保裕一) 
84.Cの福音 (楡 周平)      85.猛禽の宴 (楡 周平)
86. (西村寿行)         87.平成講釈 安倍清明 (夢枕 獏)
88.逃亡 (箒木蓬生) 
90.時代小説ベスト100 (ファーザーアンドマザー著) 


(順に、本名・著者名・出版社・発行日・蔵書先 なお、敬称は略させていただきます)
評価は無印から★★★まで4段階、★2つ以上が借り得本です。
61.殺人鬼  綾辻行人著  新潮文庫  1996年2月1日発行
大阪市立中央図書館

裏表紙に、「夏期合宿のため、双葉山を訪れた親睦団体<TCメンバーズ>
の一行。人里離れた山中での楽しいサマーキャンプは、突如出現した殺人
鬼によって阿鼻叫喚の地獄と化した。次々と殺されてゆく仲間たち・・・・
手足が切断され、眼球が抉りだされ、生首は宙を舞う! 血まみれの殺戮は
いつまで続くのか? 殺人鬼の正体は? 驚愕の大トリックが仕掛けられた、
史上初のスプラッタ・ホラー。」と書かれていました。
どうも私も著者さんといっしょで、血を見るのがきらいなのですが、著者さんと
は違って、スプラッター小説は好きではありません。というのは、殺人鬼が
なかなか死なないのですね。これでもかと感じるのですが、なぜか生き返って
しまうのが気にくわないせいかもしれません。だから、ジェイソンやフレディも
苦手なんです。でも、どういう訳か、この本を借りてきてしまうのですから困っ
たものだと思ったのでした。内容的には、着眼点がいいのでびっくりしました。
なにせツインズなのですから!?

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62.殺人鬼2 逆襲篇  綾辻行人著  新潮文庫  1997年2月1日発行
大阪市立福島図書館

上記の殺人鬼のPart2です。裏表紙に、「あいつはやはり生きていた! 双
葉山中に潜むあの殺人鬼が、麓の街に姿を現したのだ。凄惨きわまりない
殺戮の狂宴が、いま再び始まる。他人の<目>になる不思議な能力を持った
少年・真哉との対決の行方は? そして明かされる、驚くべきその正体とは。
ミステリー界に一大衝撃をもたらした、新本格スプラッタ・ホラーの第二弾!
あなたはこの恐怖に耐えられるか?」と書かれていました。

双葉山の大量殺人から三年たってから、血に飢えた怪物が麓の病院に現れ
て、凄惨な殺戮が再び繰り広げられるというお話です。前作同様、「ドッスン、
ベキ、バキ、ズブッ、グチャグチュ・・・・」というような音がいっぱい聞こえて
くるので堪りませんが、お好きな方には最適本なのかなと思いながら読んで
いたのでした。

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63.冬のオペラ  ★  北村 薫著  中央公論社 1993年9月20日発行
大阪市立福島図書館

帯には、「名探偵 巫(かんなぎ)弓彦、人知を越えた難事件を即解決し 身
元調査等、一般の探偵業は行いません。そして記録者はわたし、姫宮あゆみ
二人が遭遇した三つの事件の記録」と書かれておりました。
一つ目の事件である「三角の水」は、主人公のあゆみの勤めている叔父経営
の不動産会社が入っているビルに越してきた名探偵巫弓彦氏との出会いと、
初めての仕事?となった大学研究室で発生した研究結果の横流し事件のお
話です。二つ目の「蘭と韋駄天」は、あゆみがデパートでの<山野草展覧会
>を見に行った時に聞きつけた春蘭盗難事件のお話、三つ目の「冬のオペラ
」は、「蘭と韋駄天」に登場したフランス語講師である椿さんの勤めている京
都の大学の教授が殺され、旅行していたあゆみともども事件に巻き込まれて
しまいます。そして、名探偵の登場となるのですが....。つらい結末が待っ
ていたので、とても悲しくなってしまいましたが、でも北村ワールドならではの
温かい余韻に浸っていたのでした。

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64.熱波 ★★  今野 敏著  角川書店  1998年10月25日発行
大阪市立中央図書館

表紙に、「未曾有の不況、いっこうに進展しない基地問題、薩摩の琉球支配
以来わだかまる複雑な県民感情、さまざまな問題を抱える沖縄の県庁に磯
貝という若手自治官僚が出向になった。磯貝は、県知事の肝いりで誕生した
<国家都市形成構想推進室(通称C推進室)に配属されるが...。」と書か
れていました。
エリート意識に凝り固まりつつある官僚が、出張中、那覇で台湾マフィアに
連れ去られそうになります。そして、再び沖縄に出向させられ、今度は殺され
かけるのですが、彼はこの後一皮むけて、沖縄が大好きになるんですね。
それから、彼は骨を埋める気で仕事をし始めるのですが...。
私も沖縄が大好きなので、こういう舞台設定の小説はたまらないですね。
学生時代に初めて行った時の万座毛はレストランが一軒しかなくて、そして、
社会人になってから行った時には、リゾートホテルがいっぱい建っていて、悲
しい気分になったのを思い出しながら読んでいたのでした。

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66.死が舞い降りた ★  安東能明著  新潮社  1995年1月20日発行
大阪市立福島図書館

帯には、「第7回日本推理サスペンス大賞優秀作 りんりん、りんりん。早朝
のニュータウンに鈴の音が響き、惨劇は起こった−。旋風とともに背後から
襲い、喉を突き刺し、眼球を抉る。過去を忘れ、何もなかったように生きる者
こそ、わが標的。そう、これは<狩り>なのだ...。朝もやにけむる街でジョ
ギング中の男が惨殺された。死亡推定時刻は午前六時。総頚動脈、後頭部
に深い創傷。頚部椎間板亀裂。左鎖骨部分骨折。眼球剥落。死因は外傷性
ショック死。遺留品は殆どなく、凶器も不明。行き詰まる捜査の果てに、やが
て浮かんできたものは? 森に棲む者の復讐を描くサスペンス!」と書かれ
ておりました。
けっこう良い作品だと感じました。白神山地が舞台になっていますし、熊鷹が
主人公ですし、社会性もありますし....。青秋林道建設をめぐる攻防や、
金に身を売る御用学者も登場していて、とても興味深かったのでした。
ただし、後半からの展開がいま一歩のような気がしたのがとても残念なので
した。でも、面白い作品に仕上がっていると思いますので、ぜひどうぞ!

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67.仕留め技捕物帳 捕物界の異能者たち ★  菊地 仁著
ベネッセ  1995年5月6日発行  大阪市立中央図書館

[目次] 甲州屋の犬−伊藤桂一 /首なし地蔵は語らず−笹沢佐保 /
帯取り念仏−島田一男 /瑠璃菊の女−小笠原 京 /迷い鳩−宮部み
ゆき /女囚お葉初仕事−多岐川 恭 /のの字の刀痕−林不忘。

裏表紙に、「時代小説の華、<捕物帳>。しかし、一口に捕物帳といっても
その世界は広く、幾多の多彩で華麗な仕留め技が繰り出される。捕物界の
異能者たちの登場する秀作7篇を収録したアンソロジー第2弾。」と書かれて
おりました。
日本固有の小説スタイルをもつ捕物帳が主人公です。それも、仕留め技なん
ですね、例えば、ご存知の「銭形平次の投げ銭」のような...。
この短編集では、風車の浜吉の分銅、地獄の辰の長十手、御朱印銀次の
方円流捕物術、旗本絵師の新三郎の筆(軸に鉛をはめ込み、穂先を膠で固
めたもの)、霊験お初の超能力、女囚お葉の性技といった数々の仕留め技が
登場していて、楽しく読めた時代小説なのでした。

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68.眼球綺譚 綾辻行人著  集英社  1995年10月30日発行
大阪市立図書館共有

[目次] 再生 /呼子池の怪魚 /特別料理 /バースデー・プレゼント
     鉄橋 /人形 /眼球綺譚。
著者さんの初めての短編集です。これら七つの小説はすべて独立した物語
なのですが、どれにも「由伊」という名の女性が登場しているんですね。
なんの関係もないのですが、気になるんですね。こわい話ばかりでして、トカ
ゲやイモリのように切り落とした指がはえてきたり、進化する魚、とんでもな
いゲテモノ?特別料理やバースデー・プレゼント、怪談話の鉄橋、人と入れ
替る人形、そして、眼球を食べてしまった男の話が登場しております。
真夏の深夜、読むには最適な作品だと思いますので、ぜひどうぞ!?

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69.貧乏だけど贅沢 ★★  沢木耕太郎著  文藝春秋  
1999年2月25日発行  大阪市立福島図書館

[目次] 森の少女とカジノの男−井上陽水 /贅沢な旅−阿川弘之
十年の後に−此経啓助 /死に場所を見つける−高倉 健
旅を生き、旅を書く−高田 宏 /出発の年齢−山口文憲
終わりなき旅の途上で−今福龍太 /だから旅はやめられない−群ようこ
ラテンの悦楽−八木啓代 /博奕的人生−田村光昭。

この本に収められた十の対談は、旅における「贅沢な時間」をめぐって語ら
れたものだと言えるような気がすると書かれています。
久しぶりに対談集を読んだのですが、とても面白くてすぐにでも旅に出たく
なってしまいました。
阿川さんの船の旅のお話や、此経さんのブッダガヤのお話、健さんのハワイ
のお話、群ようこさんのアメリカのお話、八木啓代さんのキューバのお話、
田村光昭さんのマカオのお話と楽しい対談がめじろ押しですので、ぜひ借り
てみてくださいませ!

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71.黒猫館の殺人 ★  綾辻行人著  講談社文庫  1996年6月15日発行
大阪市立中央図書館

裏表紙に、「6つめの館への御招待−自分が何者なのか調べてほしい。
推理作家鹿谷門実に会いたいと手紙を送ってきた老人はそう訴えた。手が
かりとして渡された<手記>には彼が遭遇した奇怪な殺人事件が綴られて
いた。しかも事件が起きたその屋敷とはあの建築家中村青司の手になるも
のだった。惨劇に潜む真相とは。」と書かれていました。

手記を手がかりに過去の事件を読み解くという形式を前面に押し出している
伏線だらけで、大がかりなドンデン返しのある小説なのでした。
さて、この作品では、チャールズ・ラトウィッジ・ドジスンがキィーワード
だったのですが、私は最後まで何のことやら解らなかったのがとても残念な
のでした。

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72.分解の世代 ★  徳丸壮也著  扶桑社  1999年5月30日発行
大阪市立中央図書館

「時は2010年、団塊世代が60代となり、高齢社会が進行する。一方、
20代の少子世代は、高齢者負担の増大に不満感を持つ。さらに、90
年代からの日本の景気停滞は、依然として解決されず続いており、その
中心的役割を担った団塊世代への恨みも強かった。ふとしたきっかけから
団塊世代と少子世代が対立する。少子世代は既存の秩序を<分解>し、
新しい社会の枠組みを作ろうとインターネットで結びつき、団塊世代に挑戦
状をたたきつける。果たして、その行く末は? 2010年の社会状況に焦
点を当て、日本の命運をドラマティックに描きあげた近未来小説の巨篇!」
とカバーに書かれておりました。

新聞の広告を見て読みたくなったので、図書館さんに予約した本です。
ジャーナリズムのノンフィクションをジャンルにして著作活動を続けてきた
著者さんが、「分解の世代」という未来形のテーマを小説の形で表現して
くれています。小説としての評価は分かれる所があると思いますが、コン
ピュータウィルスの話からペットロボット、ロボットモンスター、インターネッ
トの神、東京湾に浮かぶ「夢の島」を「極楽島(高齢者施設を大規模に集
中化して、世界最大級のシルバーセンター化)にするお話」など、本当に
盛りだくさんな内容で圧倒してくれます。
ただ、後半からのストーリー展開は期待したほどの盛り上がりがなく、また
結末も中途半端な形で終わってしまっていて、とても残念だったので、あの
作家さんだったらどう書くだろうかと思いを馳せていたのでした。

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73.クーデター ★★ 楡周平著  宝島社  1997年3月12日発行
大阪市立図書館共有

[あらすじ] 炸薬700トンとフォト・レジスト1トンが北朝鮮に向け、
ロシアの貨物船に載せられて運ばれていくのですが、これを米軍が感知
して、原潜に撃沈命令が出されます。
しかし、この貨物船は自爆して沈んでしまいますが、この大爆発の影響を
受けて、原潜は北朝鮮近海に被害を受けて緊急浮上してしまうのです。
そして、緊張が世界を駆け抜けた時、能登・本浦原発近くの海岸に正体
不明の一団が上陸し、機動隊100名以上を殺傷してしまう事件が発生し
ます。このため、自衛隊が防衛出動しますが、首都においても警視庁とア
メリカ大使館が爆破され、ついに首都に自衛隊が出動してしまいます。
これに乗じて、正体不明のリーダーは政府首脳たちの粛清を果たそうと
するのですが....。
この難事件を解決するのが、主人公のカメラマンのマサヒコ・カワセ。彼の
恋人がジャーナリストの野上由紀なのです。彼女は??でしまうのですが
、これがすごく悲しいのですね。
この小説は、政教分離などけっこうシビアな題材を選んでいるし、自衛隊
の行動能力にもついて触れてくれていて、勉強になった本なのでした。
この本の中に、チャーチルの言葉が引用されていたので入力しておきたい
と思います。
「この世で、最上の組み合わせとは力と慈悲、最も悪い組み合わせは、弱
さと争いである」。

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78.顔に降りかかる雨 ★★ 桐野夏生著  講談社  1993年9月15日発行
第39回江戸川乱歩賞受賞作  大阪市立福島図書館

帯には、「女流ハードボイルド作家誕生! 大金を持って消えた親友
の行方を追う私の前に、謎また謎が・・・。」と書かれていました。
かなり個性的な作品というのが、第一印象でした。

[あらすじ] 主人公のミロが、ノンフィクションライターをやっている親
友の耀子の愛人の広瀬から、彼女が四千七百万円を持ち逃げした
と聞かせれたところから始まります。その金はとてもダーティな出所
であったため、成瀬と二人で懸命に耀子を捜し、ついに彼女が写っ
ている水死体の写真を発見し、お金も無事手に入れるのですが..
..。最後のほうでは、ちゃんとどんでん返しがあって、楽しく読めた
作品なのでした。
まあ、しかしベルリンのネオナチやヤクザ、霊感占い、死体写真愛好
家まで登場して、なんとも言えない雰囲気のある世界が描かれてい
たのが印象的でした。

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79.クラッシュ ★★  楡 周平著  宝島社  1998年12月28日発行
大阪市立図書館共有

[あらすじ] ドイツのフランクフルト空港で最新鋭のハイテク旅客機
が着陸に失敗してしまいます。原因は操縦ミスと判断されるのです
が、フライト・コントール・システムに不具合があったことが最終的に
事故を回避できなかった理由だと判明します。このため、メーカー側
は、急きょソフトを改良するのですが...。そして、インターネットの
あるホームページに、ハイテク航空機のコンピュータシステムをロッ
クさせたという犯行声明と、そのロックを解くためのクイズが表示さ
れ、世界中のパソコンからアクセスが殺到するのですが...。

なんと、そのホームページには<デボラ>という名の悪質なウイル
スが組み込まれていたのです。
このウイルスは、OS(Windows98など)まで消去して
しまうのです。そして、世界は破滅に向かってどんどん進んでいく
のですが....。

この作品は、前作の「クーデター」の続編なのですね。主人公の
川瀬雅彦は、クーデター未遂事件で恋人の由紀を亡くしてから一
年後、彼女の意思を継いでジャーナリストとして再出発します。
そして、最初の仕事が「インターネットに潜む危険な罠」という企画
だったため、この大事件に巻き込まれていくんですね。

あくまでフィクションですから、こんなことはないと思うのですが、最
近、近代文明の疲弊が話題となったり、つまらないヒューマンエラ
ーや設計ミス・整備不良・手抜きなどの原因による事故が目立って
きているので、少し深刻な気分におちいりながら読んでいたのでし
た。

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80.闇の楽園 ★ 新潮ミステリー倶楽部賞受賞作  戸梶圭太著
新潮社  1999年1月30日発行  大阪市立福島図書館

帯には、「このスピード感! この過激さ! ぶっちぎりの大型新人、
堂々の登場!! 過疎化に悩む町が仕掛けた捨て身の町おこし運
動。それに青春を賭けるプータローの若者。行き詰まった産業廃棄
物業者、そして、新興のカルト教団。ある土地をめぐってこの四者が
偶然に出会った時、物語が動き出した...。」と書かれていました。

ミステリーではなく、青春冒険小説のようですが、後半部分はかなり
面白い作品に仕上がっていると思いました。
主人公が提案した「巨大ホラーテーマパーク <坂巻ダークランド>
の発想が面白いのですね、それに現代の世相をうまく風刺している
ところが気に入ったのでした。寝っころがりながら楽しく夜長を過ごす
のに最適な作品なのでした。

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81.生を踏んで恐れず 高橋是清の生涯 ★★  津本 陽著
幻冬社  1998年12月20日発行  大阪市立図書館共有

高橋是清(1854−1936) 仙台藩足軽の養子として育ち、14歳
で渡米。オークランドの農場で奴隷として働かされる。維新後帰国、
大学南校(のちの東大)に入学、語学力を認められ16歳で教鞭をと
る一方、芸者の箱屋で生活を送る。一攫千金を狙ってペルー銀鉱山
発掘に乗り出すが失敗。二年の浪人生活の後、日銀入りして総裁を
二年経験した。七代の内閣の蔵相を歴任。首相までつとめ、近代経
済の基礎を作り上げたが二・二六事件で非業の死をとげる。

上記が高橋是清氏の経歴なのですが、ただただ驚くばかりです。
この本では、日露戦争の戦費十三億余りの莫大な公債を、是清が
ロンドン、アメリカ、ドイツ、フランス市場でどのように起債したのかに
ついても、述べてくれています。「蓄財の目的は、精神を磨き一身の
品性を高め、ひいては国民全体の品性を高め、さらに子孫の品性を
高めるにある」と説く是清の主義主張は、「金を貯めることが人生奮
闘の最終の目的となって、身を肥やし、栄華をきわめ、肉欲的の奢
りをほしいままにしている」今の偉い方々に、ぜひ読んでもらいたい
と強く思ったのでした。

現在の日本の状況は、是清が暗殺された頃と非常に酷似してきて
います。先日、小渕内閣は二千円札を来年発行することを決定した
ようですが、昭和二年には銀行取付けによる紙幣不足に備えるため、
裏白片面刷り(印刷が間に合わなかったため)の二百円の新紙幣が
発行されているんですね。歴史は繰り返すという言葉が私にはすごく
恐ろしく感じられたのでした。

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82.アフリカの蹄 ★★  帚木蓬生著  講談社  1992年3月10日発行
大阪市立福島図書館

カバーに、「アメリカ合衆国国立防疫センターで不審火による火災事
故が発生した。消火作業は迅速で、死傷者はゼロ。消失したのは、
C棟三階の医薬品二十万トンであった。心臓移植の若き日本学徒・
作田が、留学先のアフリカで直面したのは、白人によるおそるべき黒
人差別の現実であった。やがて、黒人ゲットーで、絶滅したはずの天
然痘が大量発生する。平和と繁栄に酔う日本を遠く離れて、作田の
怒りと正義のたたかいがはじまる。サスペンスに満ちた冒険ハードボ
イルドの傑作!」と書かれておりました。

なかなか面白い小説でした。初めて、帚木氏の作品を読んだのです
が、良かったので他の作品にもチャレンジしてみようと思いました。
さて、舞台は南アフリカです。主人公の作田は、世界最先端を行くこ
の国の医療機関で心臓移植の勉強をしていたのですが、ひょんなこ
とから黒人ゲットー内の診療所で診察を手伝うようになります。

そして、診療所に全身に小豆大の水疱ができた幼児が担ぎ込まれ
てきます。そして、ウィルス性の感染症とわかり、調べ始めるのです
が....。主人公の恋人パメラ、診療所医師のサミュエル、黒人解
放の闘士ニールたちとのからみがうまく描かれていて、スピード感と
躍動感にあふれた作品に仕上がっていると感じました。

また、ラストシーンの黒人たちのゼネストとデモは圧倒的でしたし、
「ウォザ モヤ」(魂よ奮い立て)、「ンコシ シケレリ アフリカ」
(神よアフリカに祝福を)という言葉が強く印象に残ったのでした。

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83.防壁  真保裕一著  講談社  1997年10月10日発行 
大阪市立福島図書館

[目次] 防壁 /相(バディ)棒 /昔日 /余炎。
帯には、「狙撃犯、海難事故、不発弾、放火魔。危険に立ち向かう
男たちがいる! 一瞬の魔−危険と隣り合わせで働くプロフェッショ
ナルの勘を狂わす、ほんのわずかな疑惑と動揺!」と書かれており
ました。
この本は、4作の短編を集めた短編集です。「防壁」は、警視庁警護
課のSPである佐崎康俊が主人公です。ゼネコン疑惑の建設族議員
の担当になり、会場警備をしていた時、一人の男が立ち上がり、拳
銃を発射するのですが....。「相棒」は、海上保安庁の特殊救難
隊に所属する長瀬が、自殺しようとした女性と別れ、ある事件を通し
て、逃げ去った彼女を捜そうとするお話です。「昔日」は、陸上自衛
隊の不発弾処理隊に所属する高坂透が、住宅地から発見された不
発弾を処理しようとして、ある事実に気がついたお話です。
「余炎」は、東京消防庁に勤める消防士の直井が多発する放火事件
のある事実に気がついて調べ始めるお話です。

危険な職業にスポットを当てているのが、とても新鮮で、とくに、「相
棒」が良かったと思いました。軽い作品ばかりですので、フトンの中
でぜひどうぞ!

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84.Cの福音 ★  楡周平著  宝島社  1996年2月9日発行
大阪市立福島図書館

[あらすじ] ニューヨークのハドソン川で、東洋人らしき死体が発見
されます。そして、死因はコカイン使用による急性中毒なのです。
さて、主人公は、天外孤独の青年、朝倉恭介です。彼は両親を飛
行機事故で亡くし、アメリカの一流大学で学業に励んでいたのです
が、ある日、暴漢たちに襲われます。そして、正当防衛とはいえ、
人を殺してしまった彼の人生は変化していくのですが....。

とても面白い作品に仕上がっていると感じました。主人公は、日本
にコカイン販売網をパソコン通信を使って構築するのですね。
そして、コカイン密輸の方法が、またすごいのですね。中国系マフィ
アが絡んできたり、アメリカや日本の税関の違いがわかったりして、
楽しく読めた作品なのでした。でも、主人公がちっともケガをしない
のが少し残念なのでした。

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85.猛禽の宴  楡周平著  宝島社  1997年12月12日発行
大阪市立福島図書館

帯には、「しなやかな野獣・朝倉恭介が<悪>の世界に還ってきた
。ニューヨーク・マフィアとの死闘、これぞ正統派冒険小説!! 
これは、贅を尽くしたエンターテインメントのフルコースだ」と書かれ
ておりました。
[あらすじ] ニューヨークのサウス・ブロンクスで、チャイニーズ・マフ
ィアとイタリア系マフィアがヘロインの取引をしていたところを、襲われ
ます。そして、復讐戦が始まり、恭介のパートナーであるイタリアン・
マフィアのドン、ファルージオが襲われ、重態となります。ボスが倒れ
、その後釜を狙うアンダーボスのコジモが、この機会に乗じて、大胆
な行動に出るのですが....。

この作品は、上記の「Cの福音」の続編です。恭介が尊敬するマフィ
アのドンであるファルージオが撃たれ、瀕死の重態になったことから
恭介の復讐戦が始まります。その作戦がすごいのです。
ひょんなことから知り合った、史上最強の攻撃ヘリコプター<コブラ>
のパイロットであった海兵隊くずれのギャレットの助けを借りて、単身
コジモの別荘を襲撃するんですね。手に汗握る活劇がすごく面白か
ったのですが、ただ主人公がケガひとつしなかったのが、とても残念
なのでした。でも、ストレス解消には、もってこいの作品ですので、ぜ
ひ、手に取ってみてくださいませ!?

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86.鷲  西村寿行著  徳間書店  1997年7月31日発行
大阪市立福島図書館

帯には、「テロリスト・ハンターのコード・ネームは<鷲> 宗教法人
の貸切バス爆破、警察官連続殺人、警察署長拐取、凶悪なテロルを
展開する異能・異形集団の戦慄の計画が暴かれる瞬間! 無名部隊
は、非常事態に備えて創設された非公然の秘密警察だった。隊員は
一騎当千の公安捜査官だ。アメリカで火器の猛訓練も受けている。
しかし、つぎつぎと起こるテロルに有効な撃鉄を引くことができない。
神出鬼没のテロリスト集団は、ますます挑戦的になっている。<鷲>
がついに狩り出された。テロリスト・ハンターとして。彼らは公安特科
隊長をドロップアウトした<死神コンビ>だ。狙われた獲物が死から逃
れた例はない!」と書かれておりました。

十数年ぶりに、西村寿行氏の作品を読んだのでした。でも、ちっとも
変わっておられないようで、すごく安心したのでした。そう言えば、少し
熟成されたようで、女性が一人もでてこないので、私はびっくりしたの
ですが....。相変わらずの中郷・伊能コンビが登場してきて、大活躍
をするのですが、いつも通り、お金には縁がないのですね(これだけは
私と一緒なのです)。楽しく読ませていただいたので、図書館で読んで
いない作品を、頑張って探そうかなあと思ったのでした。

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87.平成講釈 安倍清明伝 ★★★  夢枕 獏著  中央公論社
1998年4月7日発行  大阪市立図書館共有

[目次] 第一席 本朝の秀才安倍仲麿 道を求めて唐へ渡ること
     第二席 あやめの子孫安倍保名 陰陽の道に入りしこと
     第三席 尾花丸帝の御悩を癒さんと都へ上ること
     第四席 尾花丸宮中にて蘆屋道満と問答せしこと
     第五席 尾花丸宮中にて蘆屋道満と呪争いすること
     第六席 唐の大妖狐 本朝にて蘇ること
     第七席 蘆屋道満大妖狐と タッグチームを作りしこと
     第八席 夢枕獏秀斎スルタンの国にていよいよ 物語が佳境に
          入りしことを宣言すること
     第九席 夢枕獏秀斎久かたぶりにバイオレンスと エロスの語り手
          になって大団円となること
     第十席 夢枕獏秀斎次なる講釈を約束しつつ ひとまず本編の語り
          を終えること
著者さんが私たちに講釈してくれているお噺は、本朝が生みましたる稀代
の陰陽師、安倍清明公の物語です。これのネタ本は、「<安倍清明> 桃
川實講演 今村次郎速記 明治三十三年刊、講談<安倍清明>玉田玉
麟講演 山田都一郎速記 大正三年刊、大江山鬼賊退治<蘆屋道満>
玉田玉秀斎講演 山田醉神速記 」だそうです。

私は、安倍清明の大ファンなので、陰陽道の本をたまに借りたりするので
すが、けっこう図書館には揃っているんですね!! この本では、生まれ落
ちた清明は、髪は色濃く生えており、しかも真っ赤で、犬歯が二本大人の
ごとくにきちんと生えていた子なのです。まあ、獏さんが書いているから、こ
うなったのであろうと思われるかもしれませんが、実際は桃山版に書かれ
ているのです。ですが、ともあれ、おもしろいことずくめの本に仕上がってい
ると、著者さんが自慢するだけの内容になっているようですので、借り得の
本には違いないと思ったのでした。

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88.逃亡 ★★★ 柴田練三郎賞  箒木蓬生著  新潮社  
1997年5月30日発行  大阪市立福島図書館

帯には、「人身御供を求めて狂奔する国家に捕まるいわれはない。波濤を
越え辺地に潜んで二年。元憲兵の逃避行、熱い熱い感動の二千枚!
諜報活動に明け暮れた香港を秘かに逃れて苦難の末に辿りついた日本。
しかし復興に血道をあげる故国は、戦争の悪夢を消し去るべく逃亡憲兵に
牙をむいて襲いかかった。国家とは何か。責任とは何か。愛とは、死とは−
。緊張感とヒューマニズムに溢れた、渾身の大作小説。」と書かれておりま
した。

この作品のモデルは、著者さんの父上だそうです。ですが、とても客観的に
書かれていて、すごく好感が持てた作品なのでした。私はこの作品を読む
までは、憲兵というものに対しては非常に反感を持っていたのですが、主人
公の守田征二は、戦場で農民を殺すのが嫌になったため、頑張って憲兵に
なるのですね。これが仇になって、守田は追われ続けるのですから、人生と
いうのは、本当にわからないものだと一人納得しながら、読んでいたのでし
た。とても、涙なくして読めない本ですが、素晴らしい作品だと強く感じたの
でした。

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90.時代小説ベスト100 ★ ファーザーアンドマザー著  ジャパン・ミックス
1996年10月14日発行  大阪府立図書館

[目次]  第一章 江戸のヒーロー (剣豪・剣客)
      第二章 江戸のシャーロック・ホームズ
      第三章 江戸の暗黒街 無宿・股旅・無法者
      第四章 江戸のファンタジー
      第五章 江戸の謀略と陰謀
      第六章 シブミの作品に時代を読む

まえがきに、「本書は時代小説についてこれから読んでみたいとか、ざっと
知識を得たいと思っている方のために作られた読書案内である。各項目に
は、あらすじと書評に合わせて<時代背景>と<豆知識>の欄を設けてみ
た。」と書かれておりました。

私はあまり時代小説を読んだことがないので、知っている作品は少ないと
思っていたのですが、『時代小説というのは言葉で書かれた時代劇』なんで
すね。だから、TVや映画でよく見た作品ばかりなんですね。だから、半分以
上も知っていたのには、とても驚いたのでした。
この本はとても親切なので、作家作品紹介まで載っております。この本一冊
あれば、江戸の時代小説のウンチクをものにできるのではと思ったのでした。

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