| 堺屋太一氏の作品のページ (右の写真は靱公園です。) |
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| 1935年大阪生まれ。東京大学経済学部卒業とともに通産省に入る。 通産省時代に、日本万国博覧会を企画、開催にこぎつける。その後、 沖縄海洋博、サンシャイン計画の推進などに携わる。1978年通産省 を退官後、執筆・講演活動を続ける。1997年当時は、政府税制調査 会委員、財団法人アジアクラブ理事長。1998年7月、経済企画庁長 官就任。著書に「油断!」、「団塊の世代」「巨いなる企て」「峠の群像」 「知値革命」「日本とは何か」「組織の盛衰」「満足化社会の方程式」 「向かい風の朝」「『大変』な時代」「秀吉」「『次』はこうなる」、「あるべ き明日」「明日を診る」「日本を創った12人」「欣求楽市」「明日を読む」 「豊臣秀長」など多数。 |
| [目次] 1.明日を読む / 2.未来はいま決まる / 3.次はこうなる / 4.あるべき明日 / 5. 明日を診る / 6.日本を創った12人(上・下) 7.欣求楽市 /8.未来への助走 |
| 1.明日を読む ★ 朝日新聞社 1997年12月1日発行 大阪府立中之島図書館 |
[目次] 1章 「官僚」を読んで /2章 「改革」を求めて /3章 「政治」を 見つめて /4章 「地域」を探って /5章 「経済」を見通して /6章 「世 界」を眺めて /7章 「暮らし」を感じて。 「体制改革には十年かかる。冷戦終焉から十年まで、残された三年間に、効果 的な「世紀末改革」が実現するかどうか、明日の日本の命運が懸かっていると いえる」と著者さんは書かれておりましたが、もう残すところ、一年となってしま いました。「世紀末改革」どころか、もとの木阿弥になってしまったと私は感じて しまうのですが、著者さんは今、どう感じておられるのでしょうか!? この本では、「昔の軍人、今の官僚」、「公共事業で景気はよくならない」、「意 欲より能力の時代」、「建設王国のたそがれ」のところが、とくに痛快なのでした 。また、「世界の歴史の中には、高齢になってから新規事業を起こして成功した 人々の例は少なくない。高齢になったからといって人生を閉鎖的に考える必要 はない。ベンチャービジネスは、若い人々だけの市場ではない。人間の知的能 力の中でいちばん衰えの早いのは記憶力だが、衰えのないのは創造力だとも いう。記憶を補うコンピューターが普及することは、高齢者には有利な条件なの だ」と書かれていたのが、とても嬉しかったのでした。 しかし、これだけのことを書かれているのに、経済企画庁長官になられてから、 小渕内閣のやったことといったら、この著作とは正反対の政策ばかりだったの ですね。理想と現実は少しは違うものなのですが、このあまりにも大きな落差 にがっかりしてしまいました。でも、今読んでも素晴らしい分析や提案が書かれ ておりますので、堺屋ファンの方は、ぜひどうぞ! ▲先頭へ |
| 2.未来はいま決まる ★★ フォレスト出版 1998年6月30日発行 大阪府立中之島図書館 |
[目次] 第一章 日本株式会社を問う 堺屋太一 R・ターガート・マーフィー 第二章 競争社会への選択 堺屋太一 リチャード・クー 第三章 成功のシナリオ、失敗のシナリオ 堺屋太一 ピーター・タスカ 第四章 ビックバンの現実と日本の未来 副題は、「ビックバンの予測と現実」です。 はじめのところに、「本書に収めたのは、それぞれに個性的な三人の外国人エコ ノミストとの、「ビックバン」をめぐる対論です。いまや日本経済はのっぴきならな い改革のときを迎えています。自由主義市場経済に全面的に参入しなければ、 日本には明るい未来はありません。そして、自由主義経済システムへの日本 経済の改革は、ここ数年間の改革の成否にかかっています。いま私たちがその ような深刻な時期に立ち会っていることを前提に、三人の碩学との対談を読んで いただければ幸いです」と書かれておりました。 これらの対談のなかでは、「第三章 成功のシナリオ、失敗のシナリオ」が一番 冴えていたのではと感じました。ピーター・タスカさんが書かれた、2020年の日 本を予測した「不機嫌な時代」という本があるのですが、そのなかでの「2020年 の日本は、次の三つのシナリオのうち、いずれかの道をたどっているだろう」とい う話を取り上げているのです。「第一のシナリオは、ビックバンを含む大改革に 成功した日本が、華やかな『デジタル元禄』時代を迎えているだろうというもの。 第二のシナリオは、ビックバン改革を拒否した日本が破滅の道をたどっていく『 悪循環』の道。第三のシナリオは、建前だけの改革でお茶を濁した日本が、ゆっ くりと衰退していく『長いサヨナラ』の道です」と書かれているのですね。そして、 堺屋さんは「長いサヨナラの道」が一番蓋然性が高いと予測しています。一年半 前にこういうことを指摘していた堺屋さんが、経済企画庁長官に就任されてから、 なぜ「長いサヨナラの道」を選んでしまったのか、とても残念な思いをしながら読 み終えたのでした。 追:四人の方が素敵な言葉を冒頭に載せてくれていますので、引用させていた だきました。■自由競争の社会を「厳しい」ととらえるか「楽しい」ととらえるか その差が未来の勝敗を決める−堺屋太一■いま、日本人に必要なことは「アニ マル・スピリット(血気)」を 取り戻すことだ−R・ターガート・マーフィー■自らの 将来が不透明な時代こそ誠意を込めて「顧客本位」のビジネスをしなければな らない今日の顧客は、明日の雇用者になるかもしれないのだから−リチャード・ クー■人生には絶頂のときもあれば、どん底のときもある。そう達観できるだけ のタフな精神がいつの時代でも必要だった−ピーター・タスカ ▲先頭へ |
| 3.次はこうなる 講談社 1997年8月27日発行 大阪市立福島図書館 |
日本経済の破綻が見え始めたこの頃、とても冴えていた著者さんが書いた「夢 がある経済書」です。日本の「次」がどうなるのか、それは「いま」われわれがど うするのか、にかかっていると著者さんは書いておられましたが、この時期に いったい何をすることが出来たのでしょうか? いよいよその答えが出そうな気 がしてなりません。 さて、本の内容は、「人間ひとりひとりが、集団への関心を失わないで、確立する ことである」を主眼にして、分析・提案してくれていたのでした。 ▲先頭へ |
| 4.あるべき明日 ★ PHP研究所 1998年8月5日発行 大阪市立福島図書館 |
豊かで平和で夢のある日本を構築したいと切に願う著者さんが、今、必要なもの は、「勇気と決断、そしてそれを実現する熱意、いわば夢を求める気持ちである」 と言っています。 この本では、「日本への警告・東京時代の終焉・この国の気持ち・官僚の劣化、 市場の優位・組織の再生・方向のない時代・亡国の危機を脱するために・日本の 再生」の章に分類して、分析・解説・提案してくれています。とくに終章の「日本の 再生」では、千日の日本再生案を提起しています。 読んでいると、さすが堺屋さんだと感じるのですが、小渕内閣の施策を見ている と、日本再生に向け、何一つ進行していないのだとつくづく感じて、とても悲しく なってしまったのでした。でも、なかなかの良書ですので、ぜひ読んでみてくださ いませ!! ▲先頭へ |
| 5.明日を診る ★ 朝日新聞社 1999年5月15日発行 大阪府立中之島図書館 |
[目次] 第一章 日本経済の深き悩み /第二章 「金融」はどうなっているの か /第三章 グローバル経済の時代から /第四章 持続すべき変革の志 /第五章 官の退廃、官の改革 /第六章 活力ある日本をつくるために / 第七章 未来志向で生きる知恵。 「国家とその社会が信じてきた<文化>が否定される危機」である国難のとき だからこそ、あえて経済企画庁長官になったという著者さんが、前向きに、今すぐ できる景気対策から、活力ある日本をつくるための処方箋について書いてくれて います。やはりただものではないので、なかなかの展開なのですが、後になれば なるほど、しりすぼみになっているのですね。読んでいて、高橋是清氏が晩年、 ハイパーインフレに結びつく政策しか取れなかったのが、思わず浮かんでしまっ たのでした。 良い意味での楽観主義である著者さんが、あとがきで、「今、日本が直面してい る目前の危機は金融危機であり、深刻な不況である。しかし、その根底にある のは、この危機に対処しきれなかった官僚主導文化への懐疑であり、<官僚 文化>の否定である。日本は今、古い体制を整理して新しい体制を築く直前に 来ている。金融の不良債権処理と不況対策の赤字国債は、旧時代清算のとど め、いわば、<終わりの終わり>だ。その次は、新しい時代の始めの始まりを やらなければならない。1999年は、その間の転換期になるだろう」と書いて くれています。 堺屋さんも、やはり日本株式会社の終焉を予測されているのだなあと思いなが ら、寂しく読み終えたのでした。 ▲先頭へ |
| 6.日本を創った12人(上) ★★ PHP研究所 1996年11月5日発行 大阪市立図書館共有 |
[目次] 第一章 聖徳太子−「神・仏・儒習合思想」の発案 第二章 光源氏−「上品な政治家」の原型 第三章 源頼朝−「二重権限構造」の発明 第四章 織田信長−「否定された日本史」の英雄 第五章 石田三成−「日本型プロジェクト」の創造 第六章 徳川家康−「成長志向気質」の変革 「日本の独自性はいかにして創り上げられたか。聖徳太子、織田信長等、象徴 的な<人物>にスポットをあて、新たな視点から歴史を繙いていく」と書かれて おりました。この本は、図書館さんの分類では「歴史」となっておりますので、 私もこのジャンルに入れることにしました。 この本では、今日の日本にまで深く影響を残している象徴的な12人の「人物」 を取り上げています。この中には、架空の人物も外国人もいまが、彼らが日本 と日本人に与えた影響、それによって創られた日本の社会と文化は、世界に 例にないものであると著者さんは主張しています。 世界に例のない同時多宗教信仰を考え出した聖徳太子、日本的上品の元祖 である光源氏、「兵農分離」「楽市楽座」など組織・財政・経済・軍事・人事上の 新機軸を一連として創り出し、近代化をはかった織田信長、中堅官僚プロジェ クトのもとを創った石田三成、「お上意識」の普及と島国根性の形成をはかった 徳川家康について、詳しく解説してくれています。読んでいて、「もし信長があと 十年生きていたとしたら、いまの日本ははるかにバイタリティーに富んだ華やか な国になっていたに違いない」と書かれているのを見て、思わずうなずいていた のでした。 ▲先頭へ |
| 6.日本を創った12人(下) ★★ PHP研究所 1997年6月4日発行 大阪市立図書館共有 |
[目次] 第七章 石田梅岩−「勤勉と倹約」の庶民哲学 第八章 大久保利通−「官僚制度」の創建 第九章 渋沢栄一−「日本的資本主義」の創始 第十章 マッカーサー−日本を「理想のアメリカ」にする試み 第十一章 池田勇人−経済大国の実現 第十二章 松下幸之助−日本式経営と哲学の創出 カバーに、「彼らこそ現代日本の社会構造と私たちの発想の始祖であった− 変革期の今、それらの何を伝統として残し、何を新たな創造によって乗り越 えてゆくべきなのか。ますます冴えわたる堺屋日本史、舞台を近・現代に 移って堂々の完結」と書かれておりました。 「石門心学」の始祖であり、「勤勉と倹約」の庶民哲学を構築した石田梅岩、 日本の官僚主導体制の元を創った大久保利通、「財界」を創り、官民協調 と業界談合制度の生みの親である渋沢栄一、農地解放政策などで家族制 度崩壊の原因をつくったマッカーサー、GNP信仰をひろめ、人間の規格化と 人々の都市集中(地域の過密と過疎)と公害問題を引きおこし、政・官・財の 癒着体制をつくった池田勇人、終身雇用の「日本式経営」を創始し、「会社 人間」「職縁社会」をつくった松下幸之助について、詳しく紹介してくれてい ます。 おわりのところで、「今、われわれが直面している大変革も、制度や組織の 変革、財政数値や文章手続きの変更で終わるものではない。必要なことは 、明治以来積み上げられてきた官僚文化を改め、<民の文化>を築くことで ある。先人たちが生み残した何を守り、何を切り捨てるか、その選択こそが 日本と日本人の未来を決定するであろう」と書かれていたのが、とても印象 的だったので、しばらく私なりに考え込んでいたのでした。 ▲先頭へ |
| 7.欣求楽市 戦国戦後半世紀 ★★ 毎日新聞社 1998年3月20日発行 大阪市立図書館共有 |
[目次] 1.焼け跡闇市の頃 /2.「うつけ」の正体 /3.七年目の選択 /4.「1560年体制」/5.桶狭間 /6.策と組 /7.時の分水嶺 / 8.時の流れ−新体制確立まで /9.信長という「黒船」/10.元亀の 逆流 /11.策・意・力・運 /12.ビック・イベント /13.拡大の仕掛 け/14.衝撃! /15.仕手の交代 /16.人事圧力シンドローム /17.エピローグ−次への選択。 この本は、「秀吉の晩年の頃が、豊かな近代工業社会の夢を実現してしま った平成の日本に似ている。一つの夢を実現しながら次の夢を見出せなか った戦国の半世紀を、似た状況にある戦後の半世紀に重ね合わせて見てみ ようという試み」で書かれたそうです。 織田信長が描いた「天下布武」のきらびやかな夢を、秀吉は曲がりなりにも 実現しました。その秀吉が次の夢を見い出せぬままに朽ち果てようとしてい た時、「欣求浄土、厭離穢土」を旗印とする徳川家康が登場するのですね。 そして、信長的な楽市楽座の競争社会は終わりを告げ、これ以後、安定を 重んじて成長を抑制する政策が繰り返されたのでした。もし、徳川家康が 信長の政策を踏襲していたならば、世界で最初に産業革命を起こし、重商 主義を採用した大帝国になっていたかもしれません。 あとがきに、「今、日本は決定的な岐路に立っている。過去の利権と因習を 破って、再び<進歩の社会>を創るのか、それとも矮小な利権と停滞に安 住する夢のない世の中に陥るのか、つまり、二十一世紀の日本をリードする のは<織田信長>か<徳川家康>かである。歴史を繙き未来を見はるか す者なら、誰しも織田信長の再来を希望するだろう。 だが、それには激烈な競争と凄惨な淘汰を伴ったことを忘れてはならない。 今の職場と老後の収入を考える現実的な人々は、徳川家康的安定を期待 するに違いない。しかし、それには年々の貧困化と百年の停滞を覚悟すべき だろう。今、日本は、そのいずれをも選べる稀有な時期にいるのではないだ ろうか。」と書かれていたのが、とても印象に残ったのでした。 ▲先頭へ |
| 8.未来への助走 PHP研究所 1999年10月21日発行 大阪府立中之島図書館 |
[目次] 1.日本は変わる、金融危機に対処する四原則、「2000年体制」 繁栄か衰退か、昨日と違う明日の日本、明日の「日本のかたち」、史上最 大の浮上作戦 /2.人生の四季、夜明け前が一番暗い、未来の知性は どこに、地球最大の問題・人口 /3.経済演説、ソルボンヌ大学での講演 、平成十年度国民生活白書の公表に当たって、平成十一年度年次経済報 告(経済白書)の公表に当たって、「経済社会のあるべき姿」についての思 考ノート。 「今、日本に起こりつつあるのは、実に大きな変革だ。恐らくそれは高度社 会やニューエコノミーを通り越して、ニューパラダイムといわれる新しい歴史 的発展にまで突き進むだろう。これからアメリカの景気循環がどう回ろうとも 、経済社会の構造変化は確実に定着し前進する」と予測する著者さんが、 広範囲にわたって、分析・提案してくれています。 「経済演説」の結びのところでの「これからの日本が目指すのは、夢と安心 が共にある世の中です。世界に先駆けて高齢社会が現実となる日本は、 その豊かさと優れた慣習を活かして、これからの人類文化に積極的な貢 献ができることでしょう。今、この国に必要なのは、自らに対する自信と未 来への夢、そして改革を実現する勇気ある実行です。」との主張が、むなし く心に響いてきたのが残念なのでした。 ▲先頭へ |