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内田康夫氏の作品のページ

(右の写真は中之島公園です。)
中之島公園の写真


1934年11月15日生まれ。東京都北区出身。現在は長野県軽井沢
在住。コピーライター、CM制作会社社長をへて、83年から作家専業と
なる。80年に長編第1作「死者の木霊」でデビューする。この後、「本
因坊殺人事件」「荻原朔太郎の亡霊」で脚光を浴び、「後鳥羽伝説殺
人事件」「遠野殺人事件」など次々と作品を発表する。浅見光彦シリー
ズは、「黄金の石橋」(平成11月6月発行)で85作となる。


[目次]
1.はちまん<上・下>    2.パソコン探偵の名推理   3.黄金の石橋
4.ユタが愛した探偵     5.熊野古道殺人事件     6.氷雪の殺人
7.薔薇の殺人   8.浅見光彦の秘密    9.秋田殺人事件  
10.貴賓室の怪人−「飛鳥」編−    11.不知火海  12.クジラの哭
く海 
   存在証明   赤い雲伝説    天河伝説殺人事件   崇徳伝
説殺人事件
   遺骨  「須磨明石」殺人事件  鄙の記憶   藍色回廊
殺人事件
   「紫の女」殺人事件    高千穂伝説殺人事件

(順に本名・出版社・発行日・蔵書先 なお、敬称は略させていただきます
評価は無印から★★★まで4段階、★2つ以上が借り得本です。
1.はちまん<上・下> ★★  角川書店  1999年1月30日発行  
大阪市立福島
図書館 

上巻の帯に、「八幡神社への巡歴に秘められた謎 浅見光彦が愛と悲しみの軌跡
をたどる。平穏な日々との訣別。残されたわずかな時間。非業の死を遂げた老人は
、旅路の果てに何を希求したのか。五十年の歳月を経ていま示される、この国のあ
りかた。ひたむきに生きた人々の姿が、心に深く刻まれていく...。著者が壮大な
想いをこめて紡ぎ上げた大河巨編!『旅と歴史』編集部の依頼で、フリーカメラマン
・小内美由紀は、長野県中野市を訪ねる。彼女は取材途中、各地の八幡神社を巡
礼する老人と出会った。美由紀は老人の話に興味を惹かれるが、その後彼の死体
が秋田県の竹島潟で発見された。姪が被害者の息子の教え子であったことから、
浅見光彦はこの元文部官僚の足跡をたどっていくが・・・・。

下巻の帯に、浅見光彦と若者たちに託された戦後半世紀の誓いとは? 愛するも
の、信ずべきもの−。未来に想いを馳せ、遠き光芒の彼方に散った命。その遺志
を享け継ぐ若い男女に、不吉な影が忍び寄る。悲劇はまた繰り返されるのか。
浅見光彦、最大の試練。やさしさと尊さを全編にちりばめた感動の大河巨編!
八幡神社巡りの謎を追って、浅見光彦は秋田、広島、兵庫、そして熊本へと向か
う。そのなかで浮かび上がる戦争の傷痕と老人の閉ざされた半世紀。一方、高知
県庁生涯学習課に赴任した美由紀の婚約者・松浦勇樹の周囲にも不可解な事件
が連続して発生する。真相はますます混迷をきわめ、浅見光彦はさらなる悲劇の
渦中へ・・・・。」と書かれておりました。

近年、著者さんは、社会派推理小説に目覚められたようで、「藍色回廊殺人事件」
の頑固な爺さんの含蓄ある台詞のように、この小説の吉永宮司さんの台詞にも
辛辣な指摘があったのでした。でも、いつも通り浅見光彦氏が大活躍して、楽しま
せてくれる作品に仕上がっています。ただし、ロマンスがちっともないのが少しつま
らないのですね!?

また、この作品では、封印されている言葉である「八紘一宇」や「悠久の大義」、「死
して護国の鬼になる」などが登場して、いろいろと考えさせられるところがありました
。そして、「日本は多くの俊英を戦争で失ったのと同時に、国家の誇りを失ったという
ことだ。あの戦争で死んでいった優秀なエリートたちがもし生きていたら、今の日本の
姿はまったく変わっていたに違いない」という言葉に思わずうなずいていたのでした。
やはり、死んでいった人ほど優秀だったという指摘は本当だったのでしょうか!?そ
れで、思わず母に聞いてしまったのでした。題材となっている「文部省が画策してい
る『サッカーくじ』」が実現しませんよう、心から願いながら読み終えたのでした。

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2.パソコン探偵の名推理  集英社  1999年4月30日発行  
大阪市立福島図書館

帯には、「浅見もうなる迷探偵!? <特徴 その1 顔・四角い、 その2 スタイル
・背丈低く寸胴、その3 声・起伏に欠ける> 人間外の<彼>が難事件に挑む!
幻の近未来推理小説、笑いと涙のディテクティブ・ストーリーズ」と書かれておりまし
た。
[目次] ルノアールの男 /ナイスショットは永遠に /サラ金地獄に愛を見た /
嗚呼ゼニガタに涙あり/事件はカモを狙ってる /シゴキは人のためならず /田中
軍団積木くずし /怪盗パソコン「ゴエモン」登場。

1999年発行と書かれていたので慌てて借りてきたら、やっぱり昔、借りて読んだ
作品だったので、がっかりなのでした。最近、復刻版が多くて困ってしまいます。こ
の作品は、1988年に講談社文庫より刊行されているのです。
さて、主人公は、ゼニガタという名のパソコン君でありまして、数々の難事件?を簡
単に解決するお話です。昔の作品でありますので、ゼニガタ君の話す言葉は全て
カタカナ表示なので、読むのに疲れてしまったのでした。

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3.黄金の石橋 ★  実業之日本社  1999年6月25日発行  
大阪市立福島図書館

帯に、「ファン待望 著者2年ぶりの書き下ろし! 依頼人は浅見光彦? 名探偵も
浅見光彦! 『金の石橋』という呪文のようなメッセージと西郷隆盛の亡霊に操られ
て、浅見光彦は南九州を彷徨う。『軽井沢のセンセ』の陰謀で俳優・榎木孝明氏の
依頼を肩代わりさせられた『ぼく』は、生まれて初めて鹿児島の土を踏む。榎木氏の
ご母堂が何者かに、『金の石橋』の在処を示す古文書を渡せ−と脅迫されていると
いうのだ。そしてついに殺人事件が・・・・。鹿児島から熊本へ、石橋という文化遺産
を取材する旅をつづけながら、『ぼく』は見えない恐喝者と競いあって、黄金の石橋
を追う。」と書かれておりました。

近年の著者さんの作品には社会的な題材が採り入れられていて、今回は「鹿児島
の五大石橋が消える」というニュースなんですね。これらの史跡が先年の洪水で
二橋が流失、他も被害に遭ったため、近代的なコンクリート橋に造り変える動きを
伏線に、熊本の石工の元祖・岩永三五郎や西郷隆盛の話も登場して、物語は展開
していきます。今回のヒロインは、鹿児島の女子大に通う緩鹿智美さんで、彼女の
恋人の父親が殺され、父親と不仲であった恋人が容疑者になってしまいます。
そこに浅見光彦が登場して、彼の疑いを晴らし、真犯人を追い詰めて行くのです
が....。

この作品も楽しく読めたのですが、少し消化不良のところがあって中途半端なよう
な気がしてしまいました。結末も予想通りだったし、少し期待外れの感なきにしも
あらずといったところでしょうか!? でも、フトンのなかで読むには最適の作品な
のでした。

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4.ユタが愛した探偵 ★  徳間書店  1999年10月31日発行
大阪市立図書館共有

[あらすじ] 琵琶湖テレビの放送記者・湯本聡子は、越坂部長に「彦根の清涼寺
で行われるブクブク茶会」を取材してくるよう指示され、取材で沖縄の郷土衣装を
着た一人の若い女性にインタビューします。その時、彼女・式香桜里に、「来週、
沖縄に来ます」と予言されます。そして、その取材ニュースが放映された後、一人
の男が聡子の前に現われ、数日後、沖縄・知念村の斎場御嶽で彼の死体が発見
されるのですが...。

今回のヒロインは、香桜里さんです。彼女はユタ(口寄せをする巫)だと思われて
いるのですね。それは、サーダカウマリ(高い霊力に恵まれて生まれた子)だから
なのですが。今回もいい感じで話は展開するのですが、結果はいつもと同じなの
でした。さて、舞台設定は初の沖縄です。私が大好きなところですから、出てくる
地名を見るたびに景色を思い浮かべながら読んでいたのでした。この作品には殺
人犯は登場しませんし、ラストシーンも哀しかったのですが、やはり浅見光彦シリ
ーズはいいなあと改めて思ったのでした。

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5.熊野古道殺人事件   中央公論社  1991年11月30日発行
大阪市立都島図書館

カバーに、「観音浄土での往生を願い、死を覚悟で小船に身を託し那智の浦から
旅立つ補陀落渡海。それが現代に再現されると聞き、推理作家の内田康夫は浅
見光彦を取材に誘い出す。いにしえの昔より熊野詣での貴族が往来した道をたど
る二人は、途中、殺人事件に遭遇。しかも犠牲者は渡海再現で僧に扮する男の妻
であった。不吉な予感を覚える浅見と内田をよそに、補陀落渡海はその当日を迎え
る。そして行事のクライマックス、二人の目の前で何が...。

9年前の作品なのですが、まだ読んでいなかったので、予約までして借りてきまし
た。でも、どうも期待はずれの作品なのでした。著者さんが、「いちど、浅見光彦と
一緒の旅をしたかった」と書かれていたのを実行されたのが、この作品だったの
ですね。ですので、いたる所に著者さんが登場しているので、光彦の部分がいつも
より、大幅に減ってしまっていたのでした。題材は良いのに、残念なストーリー展開
だったのが印象的でした。

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6.氷雪の殺人 ★★  文藝春秋  1999年9月10日発行
大阪市立福島図書館

帯には、「『エンジン不調、不時着する。貴重な機を失い、申し訳ない』 最果ての
地で、何があったのか。浅見光彦と兄の『覚悟』とは? 感動の力作長編! 最北
の国境をのぞむ利尻島で起きた変死事件。浅見に託された、死者の謎のメッセー
ジと一枚のCD。謀略の背後に、人々の悲痛な叫びが聞こえてくる−この作品は書
いているうちに思い入れがどんどん強くなっていった。浅見光彦と陽一郎、警察と
自衛隊−という『兄弟』の物語として昇華したのは、僕の予想を超えている。戦後、
日本人が喪った最大のものは、『覚悟』ではなかっただろうか。この作品ではそのテ
ーマを、大上段からではなく、あくまでもエンターテインメントとして書いた。『氷雪の
殺人』はタブーに対する僕流の<挑戦>といっていいかもしれない」と書かれており
ました。

この作品でも、『テポドン事件や、防衛産業と防衛庁調達実施本部に強制捜査の手
が入り、防衛庁幹部までが、贈収賄容疑により逮捕された事件』という衝撃的な社
会事件を、うまく題材として取り入れてくれています。そう言えば、この大事件では、
組織ぐるみの書類操作と隠蔽工作が行われていたのでした。

さて、今回は特定のヒロインは登場していません。でも、兄の陽一郎氏が代わりに
大活躍してくれています。結末はあまりにも中途半端なのですが、テーマがテーマ
だけにしょうがなかったのかもしれないと思いながら、読み終えたのでした。

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7.薔薇の殺人 ★  祥伝社文庫  2000年2月20日発行
大阪市立図書館共有

裏表紙に、「閑静な住宅地で起きた女子高生誘拐事件。浅見光彦は親類に嫌疑が
かけられたため、やむなく捜査に乗り出した。やがて被害者の出生の秘密が明らか
に・・・・。彼女は元宝塚女優の道ならぬ愛の結晶だったのだ。犯人から連絡が途絶
えた直後、彼女は変わり果てた姿で発見された! 犯人の真意は? 浅見は憤りを
内に秘め、悲劇の真相を求めて乙女の都宝塚へ向かった!」と書かれておりました。

聞いたことのない題名のような気がしたので、予約をして3カ月も待って、ようやく借り
ることができた本です。最近つくづく思うのですが、図書館での内田康夫氏の作品は
、とても人気があるようなので嬉しい限りです。さて、読み始めて、ふと気がついたの
ですが、この作品は以前読んだことがあるのですね。いよいよボケが進行したようで、
憂鬱になってきてしまいました。

さて、この作品の初版は、平成3年の終わりころ、角川書店からノベルス版で発行さ
れています。最初の方はのんびりとした雰囲気で始まって、次第に深刻な話になって
いきます。そして、最後はいつも通りの展開になってしまうですが....。
とてもすてきな作品に仕上がっているように思いますので、まだ読まれていない方は
是非、借りてみてくださいませ!

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8.浅見光彦の秘密 ★  内田康夫監修  浅見光彦倶楽部編著
祥伝社  2000年2月15日発行  大阪市立図書館共有

[目次] 第一章 浅見光彦の不思議な世界 /第二章 浅見光彦の愛すべき人々
/第三章 浅見光彦の華麗なる活躍。

カバーに、「アサミスト必読! 名探偵の“素顔”が初めて明らかに・・・ 内田康夫氏
公認の、初めての“謎本”! 北は北海道から南は沖縄まで、日本全国で難事件を
解決してきた名探偵・浅見光彦には、著者・内田康夫氏も知らなかった“謎”がいっぱ
い。例えば、浅見は一生『独身』を貫いていく気なのか? 探偵としての活躍で収入
はあったのか!?など、その素顔は意外な神秘のヴェールに包まれている。本調査
ファイルでは、名探偵の秘密に徹底的に迫った」と書かれておりました。

たいそうな紹介文なので、まいってしまうのですが、そこは浅見光彦シリーズの大フ
ァンですので、とやかく言うのはやめることにします(笑)。

さて、この本では、浅見光彦シリーズで登場してくれているヒロインとなった女性たち
や警察官たちから見た浅見光彦も検証してくれています。これが結構面白かったの
でした。きっと興味のない方から見たら、何とくだらないことを羅列しているのだろうと
お感じになるのではと思いますので、くれぐれも浅見光彦のファンでない方はお借り
にならないほうがベターなのではないかと感じました。でも、読んでいると、以前読ん
だ作品の一場面が目の前に現れてきて、読んで良かったと痛感した本でした。

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9.秋田殺人事件 ★★  光文社  2000年8月10日発行
大阪市立図書館共有

紹介文に、「警告、秋田には魔物が棲んでいる・・・浅見光彦、女性副知事のボディ
ガードに! 兄・陽一郎の密命を受け、秋田杉を巡る謀略事件に名探偵が挑む!
秋田県の副知事として着任予定の女性官僚のもとに二通の不吉な警告文が・・・。
おりしも、秋田では二件の不審な自殺事件が起きていた! 副知事の秘書として秋
田にとんだ浅見の推理が、秋田杉に絡む第三セクターの闇を抉る。」と書かれており
ました。

今回は、大きな社会事件となった欠陥住宅問題を取り上げてくれています。第三セク
ター方式という「親方日の丸」的な放漫経営と利権の構造から生まれた、この事件を
ベースに、二件の殺人事件を警察が強引に自殺事件にしてしまうという設定になって
いるんですね。勿論、いつも通り、素敵なヒロイン・女子大生の留美子さんが登場して
くれていますし、けっこう読み応えもあった作品でした。

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10.貴賓室の怪人−「飛鳥」編 ★★  角川書店  
2000年9月30日発行  大阪市立福島図書館

帯に、「浅見光彦、世界の大海原へ <巨大な密室>へと変貌した豪華客船の謎に
挑む! 絢爛たる船旅の世界と人々の愛憎劇を描いた記念碑的長編推理!
世界一周クルーズに仕掛けられた罠。うごめく殺意の影。絶対不可能な状況のなか
で、犯人はなぜ、凶行に及んだのか。浅見光彦と岡部和雄。二人の名探偵が、船上
の<罪と罰>に迫る。浅見光彦シリーズ、海外進出第1弾! 浅見光彦に豪華客船
「飛鳥」の世界一周旅行を取材して欲しいという依頼が舞い込んだ。しかも、旅費は
すべてタダという破格の条件。だが、スポンサーが期待しているのは浅見の探偵とし
ての能力らしい。出航直前、浅見は『貴賓室の怪人に気をつけろ』という謎の手紙を
受け取り、さらには浅見の事件簿をもとに小説を執筆している作家・内田康夫までも
が『飛鳥』に乗船していることを知る。ただならぬ予感をはらみながら、『飛鳥』は日本
をはなれ、世界一周クルーズへ。だがその後、船内では数々の怪事件が発生してい
く−」と書かれておりました。

今回の舞台設定は、豪華客船「飛鳥」なんですね。死ぬまでに一度乗ってみたいも
のだと思っているのですが、先立つものもないので、こういう企画は非常に嬉しいで
すね(でも、どうして著者さんがロイヤルスイートの乗客として登場しているんでしょう
?)。また、「追分殺人事件」で大活躍した岡部刑事も友情出演?してくれています。

この作品は出だしから非常に面白くて、ワクワクしながら読み進んだのですが、途中
からつまらなくなってしまって、結末はいつも通りになってしまいました。期待が大き
かっただけに少し残念に感じてしまいました。
でも、「浅見光彦シリーズは最高だ!」と独り言を言いながら、楽しく読ませてもらった
本でした。

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11.不知火海 ★  講談社  2000年11月30日発行
大阪市立西成図書館

紹介文に、「蒼き炎に誘われ、浅見は廃坑の町をさまよう。『不知火を見た−』その言
葉を残して、男と女が失踪した。男が隣人に託した桐箱には髑髏。その歯が噛みし
める黒い鉱石。九州・八代の海を舞台に、浅見光彦の推理が冴える。大人気シリー
ズ最新作。」と書かれておりました。

読み始めたところ、なかなか光彦が登場してくれないので、間違って借りてきたかな
と思わず感じてしまいました。ちゃんと出てきてくれたので安心したのですが、期待し
ていたような展開にはならなくて、不完全燃焼の形で終わってしまっているのが、と
ても残念に感じたのですが....。でも、髑髏が出てきたり、危険物質であるモザナ
イトに焦点をあててくれているので、たまにはこういう風な作品でも、まあいいかと思
ってしまいました。

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12.鯨の哭く海 ★★  祥伝社  2001年4月20日発行
大阪市立福島図書館

「MARC」データーベースに、「わが国の捕鯨発祥地・太地を訪れたルポライター・浅
見光彦は、またまた事件に巻き込まれる。心中現場と遺された『黒枠の招待状』、
銛を突き刺された人形、そして、岬の町の女幽霊・・・・。南紀と秩父を結ぶ時を超え
た『悲劇』とは?」と書かれておりました。

今回のヒロインは、警察に心中事件として処理されてしまった新聞記者・浅見(アザ
ミと読むそうです)和生の妹・順子さんです。とても素敵な女性なのですが、平家殺
人事件以来、縁がないのか避けているのかわかりませんが、いつも通りの結末な
のでした。

ところで、「第七章 背美流れの悲劇」に書かれていた「クジラ捕りの戒めとして『背
美の児持ちは夢にも見るな』という諺(セミクジラはとりわけ勇猛で、子クジラに手を
出せば、母クジラは子を守ろうとして大暴れするから大変危険なのだという意)が載
っていました。明治十一年の十二月、百十数名の犠牲者を出した「太地の背美流れ
」と呼ばれた悲劇のお話は心にずしりと響いてきました。

昔、関東地方にいた時に、秩父にはキャンプとかに行ったことがあるので、とても懐か
しかく感じながら、楽しく読ませてもらった作品でした。でも読んでいて、クジラの刺身
は食べたいけれど、ハワイのザトウクジラのホエールウォッチングにも行きたいし、私
はどうすればいいのだと考え込んでしまったのですが....。

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存在証明  角川書店  1998年2月27日発行  大阪市立福島図書館

私の好きな浅見光彦が登場する作家のエッセイ集です。浅見光彦が登場したのが
1982年頃ですから、今ごろは私と同じ年代だと思うのですが、残念ながら彼は年
をとらないのでうらやましいかぎりです。この本の225ページからの「毎日が世紀末
」のところが良かったと思います。たまには、好きな作家のエッセイ集を読むのもい
いですね。アサミストの方は必読です。

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赤い雲伝説  角川春樹事務所  1996年9月6日発行  
大阪市立福島図書館

「瀬戸内海の小島に赤い狼煙が上がるとき、原発誘致問題にからむ虚栄と欲望の
抗争の醜い構造が暴かれる。浅見光彦、諸行無常に涙する」が帯に書かれていま
したが、そんなたいそうな作品ではないと感じました。でも、最後に浅見光彦が関係
者全員を集めて、「種明かし」をする場面は昔の探偵小説のようで興味深いものが
ありました。

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天河伝説殺人事件 ★★  角川春樹事務所  1995年12月28日発行 
大阪市立福島図書館

「前世の悪縁か、吉野山を取材する浅見の目の前で起こる事件の数々人間の栄枯
を静かに見守る天河神社のご神体「五十鈴」は、すべてを知っていた!」と帯に書か
れています。これは私の好きな作品の一つです。ラストシーンが良く出来ているし、
なんといってもヒロインの水上秀美さんがとても素敵ですし、能謡の世界を舞台にし
ているのも最高でした。

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崇徳伝説殺人事件 ★  角川春樹事務所  1997年2月28日発行  
大阪市立図書館共有

おなじみの浅見光彦シリーズです。この作品のメインテーマは、「崇徳上皇伝説で
あり、崇徳に象徴される、親と子の相剋を描きながら、親子の愛と憎しみは千年の
歴史を超えて、人間の永遠のテーマである」と著者は述べております。私はそんな
たいそうなものではないと、いつも思ってしまうですが、そう言いながらまめに読んで
いるのですから、どうしようもないですね。崇徳上皇のたたりを題材にしながら、老人
ホームで起こった殺人事件を発端として、次々に殺人事件が発生します。「讃岐路
殺人事件・鐘」で活躍した大原警部補が再登場して、話はどんどん進んで行きます。

最後に、浅見光彦は犯人を突きとめるのですが、やはり彼らしい幕引きで終わって
しまうのです。中盤までは非常に面白いのですが、後半はいつものワンパターンが
見えてきてしまったのでした。でも、舞妓の栄見子さんも登場して花を添えてくれて
いますし、やっぱり私は浅見光彦の大ファンであると痛感したのでした。

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遺骨 ★  角川書店  1997年7月31日発行  大阪市立福島図書館

帯には、「浅見光彦、医療の原罪を追う! 製薬会社社員が死の直前に預けた骨壷。
それを持ち去った謎の女。錯綜する事件の接点は、金子みすずゆかりの地・山口県
仙崎に。命あるもの、そして死者をも、やさしくいたわる浅見光彦の死生観が深い感
動を呼ぶ!」とありました。

軽く読むには良い作品かもしれませんが、私にはなにか中途半端な感じがしてしまい
ました。というのは、脳死の問題を取り上げている割には記述が少ないし、事前の掘
り下げが浅かったように感じたからでしょうか?
よく小説などで題材になった731部隊にも触れられていますが、犯人の悪事について
もっと書かれてもよかったのではとも思いました。でも、いつも通り楽しく読める作品に
仕上がっていますし、浅見光彦の脳死についての考えかたもでてきますのでぜひどう
ぞ!

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「須磨明石」殺人事件  徳間書店  1998年2月28日発行  
大阪市立福島図書館

帯には、「浅見光彦、子午線に立つ。山陽電鉄・須磨駅で消息を絶った若き新聞記者。
その行方を追った浅見を待ちうけるものは..。」と書かれておりました。

この作品は、1992年11月にトクマ・ノベルズとして刊行されていたものですので、阪
神大震災の前に書かれています。現在の風景とは様変わりしているのがよくわかる
ので、とても悲しくなってしまったのでした。いつもの通り、楽しく読ませていただいた
のですが、たった一つだけ不愉快な記述がありました。それは、223P〜224Pにか
けてなのですが、阪神大震災の時に活躍したのは秀才達ではなく茶髪の皆さんだった
のを、著者さんはご存知なのでしょうか?なんか読んでいて浅見光彦氏の言葉で語ら
れていたのがしゃくにさわったのでした。
でも、楽しい作品に仕上がっていますのでフトンの中でぜひどうぞ!

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鄙の記憶 ★★  読売新聞社  1998年4月5日発行  
大阪市立図書館共有

あらすじ 「静岡県島田市の通信部に勤務している記者が、同じ記者クラブに所属する
他社の記者の殺人事件を調査し始めます。さらに殺人事件が発生して、その被害者が
秋田県大曲の老女殺人事件の重要参考人と判明するところで、やっと浅見光彦が登
場するのですが....」。

「鄙の記憶」は、非常に面白い作品に仕上がっていると思います。浮わついたところが
全然ありませんし、構想もしっかりしていて好感が持てますし、また今回はヒロインらし
い女性も登場していないのですが、そのおかげのせいかじっくりと犯人探しが出来て
楽しく読めたのでした。こういう形の浅見光彦シリーズも、またいいものだと痛感しまし
た。浅見光彦ファンでない方も、ぜひ借りてみてくださいませ!

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藍色回廊殺人事件 ★★★  講談社  1998年11月2日発行
大阪市立福島図書館

帯には、「深い深い感動を呼ぶ内田文学の金字塔 浅見光彦は[四国三郎]を救える
か?四国のシンボル・吉野川がいま死のうとしている...。浅見光彦が徳島で出会っ
たのは、河口堰に反対する人々の悲痛な叫びであった。吉野川を遡るようにして辿り
着いた、12年前の殺人事件。その恐るべき真相とは?」「殺されるというメッセージを
残して、男と女が徳島・祖谷渓の谷底に消えていった。それから12年−。いま、徳島
県の吉野川河口堰建設計画は、地元住民を二分して論争が白熱化している。その渦
に巻き込まれた浅見は、計画の経過を遡るうちに殺人事件との接点に気づいて...
。[藍色回廊]と名付けられた吉野川の美しい自然をめぐって、欲望と愛憎が交錯する
中、浅見光彦の推理が冴える。」と書かれておりました。

私は、内田文学というほどのものではないし、もちろん金字塔とは何事かと思ったりし
てしまうのですが、でも大ファンなので、あまり悪口を言うのはよしておきたいと思いま
す。さて、この著者さんは題材の設定のタイミングがいいんですね、おそらく天性のもの
だと思うのですが...。この作品の中で、河口堰にずっと反対し続けている頑固な爺
さんの含蓄のある素敵な台詞があったので、書いておきたいと思います。

「物質がなんとか足りてきたと思った頃、大量生産、大量消費どころか、浪費の勧めと
いう思想が入ってきた。仕掛けたのはもちろんアメリカ。質素、倹約が美徳だった日本
人に、浪費の面白さという、とんでもない病根を植え付けた。それ以来、日本人の感
覚は狂ってしまったんじゃな。スクラップ・アンド・ビルドなどという横文字を使いよって
、まだ使える物をどんどん捨てては新しい物を手に入れたがる。

三年ごとに新車を買ったり、古い街を潰してビルを建てたり、第十堰を壊して可動堰を
作ったり。すべて浪費病のなせる業みたいなもんじゃね。要するに、日本の経済の仕
組みがいつの間にかそうなってしまったということじゃな。たえず何かをやって金を回
していないと、たちまち息がつまる。しかしそれにも限度があるに決まっとる。消費財
はいいとしても、ゼネコンや建設業者が扱うようなでかい事業がいつまでもつづくはず
はない。だから連中は、可動堰みたいな事業を無理やりでっち上げようとするんじゃ。
なくてもいいものを作りたがるんじゃ。建設といえば聞こえはいいが、その半面には必
ず破壊がつきものじゃよ。湖底に沈む村。消えてしまった渚。あんたがいつか言ったよ
うに、どこもかしこもコンクリートばかりで、日本の原風景は際限なく失われていく」。

どうですか、とてもいい台詞だと思いませんか!?
著者さんも、けっこう主張したいことはきっちり主張しているんですね。なにせ押しが少
し弱いものですから、軽い作家と思われてしまうのですが、そこらの紐付きジャーナリ
ストさんやエコノミストさんよりは、よっぽどまともな主張があると感じたのでした。最近
、再び第十堰の開発を巡り、きなくさい動きが出てきていますが、この国は本当にちゃ
んとした形で、21世紀を迎えられるのだろうかと不安になってきたのでした。

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「紫の女」殺人事件 ★  徳間書店  1999年4月30日発行  
大阪市立福島図書館

[あらすじ] 熱海市の和菓子店で変死事件が発生します。主人と妻は絶息し、一人娘
の一恵が虫の息で発見されたのでした。警察は、毒服用による心中と判断するのです
が....。内田先生の網代の仕事場に浅見光彦が訪れ、ちょっとしたことから生き残っ
た一恵さんの相談に乗るようになり、解決に向けて行動を開始するのですが....。

とても新しい本だったので、あわてて借りてきたのですが、読み始めたら、以前読んだ
作品だったのです(なんと「愛蔵版」だそうです)。なお、この作品が世に出たのは、
1991年10月なのでした。でも、京菓子づくりの話もでてきますので、和菓子を食べ
ながら美味しいお茶でも飲んで読むには最適な作品なのでした。

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高千穂伝説殺人事件 ★  角川春樹事務所  1997年8月28日発行  
大阪市立福島図書館

[あらすじ] 浅見光彦が敬愛するT女子大学の林教授に、無理やり勧められて、光彦
はお見合いをするところから話は始まります。見合いの相手は、天才ヴァイオリニスト
の本沢千恵子さんなのですね。お見合いの席では、父親の本沢誠一氏に、「浅見さん
、千恵子のこと、ほんとうによろしくお願いします」と言われ、何と答えていいものか、
とまどってしまった光彦なのでした。宮崎県高千穂町で、不審な轢死事件が発生し、
その後本沢誠一氏が失踪してしまいます。林教授に依頼されて事件を調べ始めた
矢先に、高千穂峡で殺人事件が発生し、さらに高千穂の夜神楽の口上人も殺されて
しまうのですが....。

この作品では、「高千穂」が二つあることや、宮崎県の新田原を「ニュータバル」と読む
こと、天孫降臨神話<高天原という天上の国から、地上に神が降りてきて日本国を治
めるようになったという神話>についてや、終戦当時の陸軍航空隊の新田原基地や
隠匿アヘンの話がでてきます。こういう題材をよく見つけてくるものだと、変に感心しな
がら読んでいたのですが、なぜか後半部分には物足りないものを感じてしまったので
した。でも、日本の神話について真面目に考えてみるのもいいものだと思ったのでし
た。

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